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ドキュメント・ザ・舞台裏/「生活訓練いろは所長 太田さんの一日」を密着レポート!(2024/02)
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「訪問看護」の現場を潜入レポート!
当院の舞台裏を潜入レポートする本企画。今回は特集記事に登場した「生活訓練いろは」の所長をつとめる太田さんの一日を密着取材しました。
ご登場いただく太田さん、実は本誌27号でも精神保健福祉士の一日を密着取材していて、今回は二回目の密着である。
今回は就任された「いろは」所長としての顔を拝見すべく、新たな気持ちでお伺いしたいと思う。
「いろは」の一日はどんなものか? さっそく太田さんに突撃してみた。
朝の「いろは」にお伺い
朝8時半の始業にあわせて伺うと、太田さんは満面の笑みで待ち構えてくださっていた。
またもや密着させていただきます。よろしくお願いします!
「おはようございます。あ、もう朝礼が始まりますわ」
朝からお忙しそうな現場であるが、朝礼であれば5分程度で終わるだろうと高をくくっていたら甘かった。報告や話し合いが丁寧に行われ、終わったのは小一時間後。
ずいぶん長時間されるんですね。
「毎日の朝礼でしっかり情報共有するよう心がけているんです」
通所が不安定になっている利用者さんや、新たな仕事に就いた利用者さん等をはじめとして、個々のケースについてスタッフがしっかり把握しておくことが、現場でのよりよい支援につながるのだ。
まずは米炊きから
朝礼が終わるやいなや、「じゃあ、まずは米炊きのほうから撮ってもらいましょうか」と言って2階にあがっていく太田さん。
着いていった先には、お米を研ぐ男性の姿が。
「こちら、アルバイトの山村さん。朝の米炊きをお願いすることが多く、炊いたご飯を利用者さんの昼食に出しているんです。惣菜は業者さんに注文しています」
休憩スペースの運用方針
ついでに2階の部屋を案内していただく。
「こちらは休憩室です。利用者の皆さんは原則、1階のホールで過ごしていただくんですけど、どうしても集団がしんどいという時には、ここで一人になってもらいます」
「ただ、ここで一日ずっと過ごされると訓練にならないので、あくまでも一時的な避難場所として運用しています」
調子の悪い利用者さんのことをおもんばかりながらも、ご本人の成長につなげることを常に忘れない太田さん。
「休憩室までは必要ないけれど、ちょっと休みたいという人には、こちらの1階スペースを使ってもらいます」
このスペースは1階ホールの隣にあり、ホールで過ごす利用者さん達の声が聞こえたり、様子が伺われたりする。2階休憩室に比べて、対人的な刺激を程よく受けるので、社会参加の訓練に適した絶妙な休憩場所なのだ。
午前のプログラムに参加
この日は10時半から午前のプログラムを担当される太田さん。
プログラム内容は日によってさまざまで、ストレッチなどの運動系もあれば、絵しりとりなどのゲーム系、合奏などの音楽系、ミサンガ作りなどの創作系もあって、バリエーション盛りだくさんだ。
本日のプログラムは勉強系で、「なんでも勉強会~クライシスプラン」とのこと。
せっかくなので同席させていただくことにした。
勉強会では太田さんが司会進行を担って、調子が悪くなったときの対処法や、ストレス解消法について、理解を深めるための講義を進めていく。
その際、利用者から意見を積極的に聞きながら、利用者同士のディスカッションも設けるなど、みんなが積極的に学べる参加型の勉強会を心がけてらっしゃるのが印象的だった。
お待ちかねのランチタイム
午前のプログラムが終わるとお昼時、皆さんのランチタイムだ。
今度はアルバイトの森さんが出てこられ、炊きあがったご飯を茶碗によそって、利用者さんたちに配っていく。
業者さんに注文した惣菜も届いていて、こちらもお皿に盛りつけられてく。ちなみに本日は、ブロッコリーとツナのサラダ、おから煮、豚肉と野菜の炒め物の3品である。
どれも美味しそうだけれど、スタッフの昼食はまた別とのこと。
スタッフさん達の昼食は?
「いつでも誰かが対応できるよう、時間をずらして休憩を取っています。持参の食事を休憩室で食べることが多いですね」
太田さんはどうされるのか尋ねると、カバンから弁当箱を取り出しながら答えてくださった。
「妻が作ってくれるおにぎり2個です。今日の具材は……カレーそぼろと、青菜ですかね。では自分も、昼食をいただくことにします」
そう言って、デスクに向かったままおにぎりのラップを開けようとした矢先、電話が鳴って対応に追われる太田さん。
愛妻おにぎりを食されたのは、電話が終わった10分ほど後のことだった。
「いつもこんな感じなので、自分はデスクで昼食をとってます。他のスタッフには、休憩室でちゃんと昼休みを取ってもらってますが、所長はそうも言ってられないのがツラい立場です(笑)」
笑いながらこうおっしゃる太田さんであったが、昼食をおにぎりにしているのも、すぐに食べられるのが理由だという。
いやはや、日々のご多忙っぷりが察せられます。
「自分は、「生活訓練いろは」と「相談支援事業所おうばく」両方の管理者を兼任してるので、どうしても仕事が重なることが多くて。忙しいこと自体は苦じゃないんですけど、そのために利用者さんを直接支援する現場に出にくいことがあるのが悩みですね」
管理業務と現場支援の板ばさみでしょうか。
「状況によっては、担当している利用者さんに、『今は対応できないので、ちょっと待っててください』と言わざるを得ないこともあって、心苦しいです。兼任の管理者として、もっと成長しなくてはいけないと日々思います」
午後はまず、Sさん宅に訪問
午後の行動は、まずは利用者さん宅への訪問だった。自宅での様子の確認や、生活上のアドバイスのため、定期的に訪問しているのだという。
今回は太田さんと看護師・谷さんの2名に同行して、近所にお住まいのSさん宅に歩いて伺った。
Sさんの部屋はきれいに掃除されていて、居住環境に問題は全くなさそうであったが、食事量のコントロールに不安があるとのことで、太田さんと谷さんは毎回炊くお米の量を計って、個別に袋分けされていた。その合間に、最近の家でのご様子や悩みなどについても話をされ、30分ほどでお宅を失礼させていただいた。
ピアサポーターさんと打ち合わせ
訪問から帰所した後は、ピアサポーターさんとの打ち合わせ。
今回お越しになったのは、現在ピアサポーターとして活動しているFさん(男性)とYさん(女性)のお二人。ちなみにYさんは、本号の特集記事で対談してくださっている「よしみ」さんである。
2階の相談スペースで太田さんがお二人から話を伺いながら、今後のピアサポートについてのすり合わせ、打ち合わせをしっかりと行っておられた。
こうして、「いろは」の一日は過ぎていくのだった。
お仕事への思い
さいごに、お仕事のやりがいについて訊いてみた。
「自分が担当している事業所は、いずれも利用者さんの生活支援を行っています。楽しい場面も大変な場面も、どちらも利用者さんと共に体験していくこと自体に、やりがいを感じています」
「結果として問題を解決できるときもあれば、それが難しいときもあります。でも、結果だけではなく、一緒に悩んで考えながら、協働してアプローチしていること自体に、自分の存在意義を感じています。いわゆる間接支援ではなく、直接支援のほうが、自分には手ごたえとやりがいを感じられるんです」
利用者さんと苦楽を共にして、悩みながらも直接支えることをいとわない太田さん。
これからも日々のお仕事を元気にがんばってくださ~い!
(取材と原稿/臨床心理士・名倉)
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