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読まないで!?ドクターXの酔いどれ放言/「伸び悩む『伸ばす手』に悩む担当医」 (2023/08)
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「伸び悩む『伸ばす手』に悩む担当医」
〈終業後、イタリア食堂Nにて〉
新型コロナも5類になって、先生とも堂々と飲めるようになって嬉しいです。
「学会や研修会も対面に戻ってきてるし、実は来週も講演で金沢に行くんよ」
金沢いいですねー。美術館とかオシャレですし、魚介もおいしいですし。
「街の回転寿司でも、京都の回らない高級寿司レベルの旨さやからね(笑)」
では魚介は金沢にゆだねて、本日は肉とワインにしましょう!
〈牛肉のローストその他で、ロゼワイン1本がほぼ空に〉
ところで先生、今回の特集テーマであるアウトリーチってどういうモノなんですか?
「直接担当してないから詳しくは知らんけど、アウトリーチってそもそもは精神科に限ったものではなく、そのサービスを受けられない人のために手を伸ばしてサービスを受けてもらえるよう調整する役割のことなんよ」
精神科以外だと、例えば?
「移動スーパーや配食サービスもそうやし、もっと広げればアマゾンなんかもそう。外出が難しい人でも自宅からクリックひとつで、たいていの物品が自宅に届くわけやからね。そういうシステムを総称して、アウトリーチって呼んでる」
ウチの法人では、どういう運営なのでしょうか。
「多職種が連携して、医者と看護師、作業療法士、精神保健福祉士などがチームを組み、期間限定で調整役を担うってイメージかな」
具体的には何をするんですか?
「患者さんの入院中から、とくに退院前後は密にかかわってスムーズな早期退院につなげたり、退院後の再入院を防いだりしてる。だからこそ期間限定なんやけど、退院された後は、訪問看護や訪問ヘルパーといった既存のサービスにつなぐことが多いようやね」
お医者さんの往診とか、訪問看護とかとの違いがまだよく分かってないかも……。
「たしかにややこしいよね。医師の往診は、自力では診察に来れない患者さんを基本的には最期まで診る。訪問看護は、看護師もしくは作業療法士が週2回とかの日時契約で患者さんを訪問する。対して当法人のアウトリーチは、期間限定的ながら入院中から多職種で、もっと臨機応変に動くことができるんよ」
いろんな職種によって、柔軟に手厚く支援できるメリットがあると。今後さらにアウトリーチが増えていくといいですね。
「それが……アウトリーチをチームで継続している医療機関って全国的にも少ないままでね。訪問看護の事業所が増えているのとは対極的かも」
メリットがあるのに増えないのはなぜでしょうか。
「多職種チームだけにマンパワーもコストもたくさん必要になる一方で、あんまり収益にならんというか、収支的にキビシイんよ。あ、これ言ったらマズかったかな」
なのにウチではどうして継続できているんですか?
「患者さんにとって大きな支えになっているのは事実やし、その支えによって早期退院できたり、再入院のリスクが下がったりすれば、それが全体としては能率的な病棟運営という、当院にとってのメリットにもつながるからやろうね」
目先の収支ではなく、大局的な視点から判断しているんですね。
「そうであってもキビシイ面があることに変わりはないんやけどね。収益をあまり気にしなくていい国公立の医療機関こそ、もっと担ってくれたらいいんやけど、あまり声高に言うと僕の立場が危ないので、このへんで失礼させてもらうわ(笑)」
承知しました。アウトリーチに乾杯!!
(当院匿名精神科医 X べるぶネオ編集部)
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