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読まないで!?ドクターXの酔いどれ放言/「高速道路とクロザリルに悩む担当医」 (2023/02)
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「高速道路とクロザリルに悩む担当医」
〈終業後、イタリア料理店Cにて〉
コロナも一段落して、先生と飲むのも本当に久しぶりです!
「いやー長かった。といっても、まだまだ油断大敵やけどね」
ではでは、さっそくワインで乾杯といきましょう!
〈バターナッツかぼちゃのグラタンその他で、濃厚な白ワイン1本が空に〉
そういえば、今回の特集記事のテーマがETCらしいんですけど、先生はご経験ありますか?
「クルマ乗ってた頃はよく使ったよ。・・・…って、違うやろ?(笑) なんでウチの病院が高速道路の解説せなアカンのや。ETCじゃなくてECT、電気けいれん療法のことやんね?」
そうです!いつもゴッチャになりがちで。
「ECTの経験は何度もあるよ。実際に行うとなるといろいろタイヘンやけど、それでも薬が効かない難治例では実施していたなあ」
タイヘンというのは、どうしてですか?
「現在のECTは麻酔下で実施するから、患者さんが全身麻酔に耐えられるかといった術前評価をしっかり行わないといけないし、現場では麻酔担医も必要になるから、手間もマンパワーも多大にかかるんよ」
それでも実施されるというのは効果が期待できるんですね。
「自傷行為の激しい患者さんが、グンと改善して退院されたこともあるよ」
頭に電気を流すだけで、どうして病気が治るんですか?
「ECTがどういうメカニズムで効くのか、実は今でもハッキリ分かってないんよ。ただ、うつ病にせよ統合失調症にせよ、身体が危機的な状況に陥ると精神症状が大きく改善することがあるっていう経験則は、多くの臨床医が実感していることでね。命の危機を感じると本能的に、不調に陥ってる場合ではない!って活が心身に入るのかもしれない」
そういうものなんですね。
「それを苦痛なく安全に行うのが、現在行われている無けいれんECTってわけ」
難治ケースの患者さんには、ECT以外の選択肢もあるんですか?
「もうひとつの切り札として、クロザリルという薬剤がある。これは難治例の統合失調症の患者さんに用いるクスリでね」
クスリを飲むだけでいいんですか!?だったらECTより楽チンじゃないですか。
「いやいや、これも結構タイヘンでね。副作用に白血球減少のリスクがあるから、投与中は頻繁に血液検査をしてモニターし続けないといけない。毎週採血したうえでその数値を医師が確認してネット経由でデータ入力して、それを看護師が確認して承認して、さらに薬剤師がチェックしたうえで薬剤が払い出されるという、煩雑な手続きを毎回踏まないといけないんよ」
先生方の手をずいぶん取りそうですね。
「患者さんの安全を担保するための大事な手続きなんやけど、結果として忠者さんへの負担も大きくなるからね」
それだけ大変な手続きがあっても、実施を続けてらっしゃるんですね。
「本音を言うと、面倒すぎてやりたくない!って気持ちもあるよ。でも、ECTにせよクロザリルにせよ、手間がかかるだけに実施できる病院も限られていて、一般のクリニックや小さい病院ではなかなか無理やからね。おうばく病院という、機材にも人材にも恵まれた大きな病院で奉職する医師としての使命だと思って続けてる」
今日の先生、超カッコいい!ヒューヒュー!!
「・・・…ちょっとワイン飲みすぎたかもしれん(照)。今日はこのくらいで勘弁しといて〜」
(当院匿名精神科医 X べるぶネオ編集部)
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