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読まないで!?ドクターXの酔いどれ放言/「新型コロナ下、電話診察に奮闘する担当医」 (2021/08)
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「新型コロナ下、電話診察に奮闘する担当医」
〈某日、職場の会議室にて〉
先生、オンラインよりもやはり対話がいいです。といって京都も緊急事態宣言が続いていて、飲食店でお酒を飲むこと自体できない現状なので、こうして会議室にて取材をお願いすることになりました。
「同じ職場に勤めているんやから全然かまわんよ。むしろ前回は、なんで突然オンライン取材なん!? って思ったけど(笑)」
失礼しました……知ったばかりのZOOMを使ってみたかったんです。職場の会議室ではお酒は飲めませんが、よろしくお願いします。
「それにしても、ウチの病院も病棟で新型コロナのクラスターが発生して、大変な数ヶ月やったね」
外来も入院も2週間ほどストップして驚きました。診察のほうはどうされていたんですか?
「注射が必要な患者さんといった例外をのぞいて、基本的にはその期間中は、電話診察に切り換えての診察やったよ」
電話診察って、実際にはどういう風な流れなんでしょう。
「こちらから患者さんに電話をかけて診察します。で、電子カルテから薬の処方も行います。で、医事がその処方箋を印刷して、患者さんが取りに行く薬局にFAXします。 で、患者さんが薬局で薬を受け取って、ハイOK!」
携帯で通話しながら電子カルテ打つのは大変そうですが。
「そう、当初は難儀したよ。小さい携帯を肩に挟んだまま、ノートPCを両手でタイピングし続けるのは相当な苦行やった(笑)。でもハンズフリーのマイク&イヤホンセットが売られていることが分かって、使ってみたら快適でね。こんな感じでやってるんよ」
でも正直なところ、電話診察ってどうなんですか?
「正直に言うと……とにかく楽やわ。いったん電話診察の味をしめてしまったら、通常の対面診察に戻れへんかもと思ったくらいで(笑)」
いったい何がどう楽なんです??
「対面診察の場合、予約時刻が決まってるだけに、診察がずれ込むと後の患者さんを待たせることになる。待ち人数が多くなると密にもなるし、椅子が足りないと立って待ってもらうことにもなるしで、結構プレッシャーがあるんよ」
なるほど。考えてみたらそうですよね。
「それが電話診察の場合、患者さんを密な空間で待たせるとか、立ったまま待たせるとかって心配がないし、こちらのタイミングで電話をかける形やから、すごく気が楽でね」
先生にとっては都合がよくても、患者さんにとってはどうなんですかねえ。
「患者さんにもメリットはあるよ。病院まで足を運ぶ必要がないし、家から出なくてすむから新型コロナのリスクも下がるし、豪雨や台風といった天候の影響も受けないし。歩行が不自由な患者さんや感染リスクの高い患者さんは、とくにメリットが大きいと思う」
だったら今後も電話診察にしたほうがお互いよさそうですね。
「そこが難しいところでね。やっぱり実際の様子を診れないのはデメリットとして大きい。僕ら医者は患者さんの言葉だけでなく、表情や衣服、雰囲気、体臭その他、いろんな情報を読み取って診察しているわけでね。電話口で患者さんがいくら「大丈夫です」と言っていても、何ヶ月も会っていないとそりゃあ心配になるケースもある」
引きこもり傾向のある患者さんを助長したりもあり得えそうですね。
「そうなんよ。だから何でもかんでも無条件に電話診察でよし! とするんやなくて、何回かに一回は対面診察を必須にするとか、診察以外の訪問サービスやデイケアの利用を条件にするとか、そういった指針を設けていく必要はあるやろうね。今のところ、電話診察は新型コロナ感染防止のための特例措置やけど、そのメリットとデメリットを斟酌した上で、残せる部分は残していけるといいと思うよ」
確かにそうですよね。……お酒が入らない分、いつもよりちょっと真面目な先生という印象も受けますが(笑)、お堅い先生もステキです~。
「君みたいなおっさんに言われても気持ち悪いわ! おっと、あいにく入院診察の予定を思い出したので、急ぎ足で失礼するよ。あとはヨロシク~♪」
(さすが元陸上部の先生、逃げ足も速い……)
(当院匿名精神科医 X べるぶネオ編集部)
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