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読まないで!?ドクターXの酔いどれ放言/「医学部の入試制度について憂う担当医」 (2019/02)
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「医学部の入試制度について憂う担当医」
〈終業後、京都市伏見区の割烹Lにて〉
いつもの居酒屋Fが店主の事情でしばらく休業中でして、今回はこちらのお店になります。先生、最近のご様子はいかがですか?
「淡々と毎日を過ごしつつ、白髪だけは順調に増えていくという感じかなァ」
やはりご苦労が多いのでしょうか……。
「そういうことにしておいて(笑)、とりあえず注文しよう! ここは魚の炙りなんてあるんやな~。これと地酒にしようかな」
おお、最高ですね。私もそれと地酒にします。
〈魚の炙りその他で、地酒5杯目に〉
「突然やけど君、18歳くらいの頃って将来の道とか考えてた?」
そこまで考えてなくて、とりあえず大学生になる! くらいの気持ちでした。先生は当時から医学を志しておられたのでしょうか?
「僕はいったん一般の学部を出て社会人になった後、編入で医学部に入ったからね。18歳の頃ってまだ志も固まってなかったし、世の中それが多数派やと思うよ」
そう考えると現役で医学部に入る人たちって、若くしてすごい志ですね。
「それが近年はそうでもなくて、成績が優秀な子は予備校とか周りのススメで、自分の意志ではなく自動的に医学部に進んでしまうケースも増えてるみたいでね。医学部って医師養成コースみたいなところやからツブシもきかへんし、それだけに18歳の時点で自分の一生が決まってしまうのはある意味タイヘンやと思うんや」
医学部は定員が限られた狭き門だけに、入るのも入ってからも大変なんですねえー。
「ここしばらくは医学部の定員も増加して、多少入りやすくなってるみたいやね。入試の際、男子と現役生に加点して女子と浪人生に不利な入試を行っていた某医大が問題になったりもあったけど」
定員が増えてるのはどうしてなんですか?
「田舎の医者不足というのが表向きの理由で、それを埋めるために地域枠っていう新たな定員が医学部に増やされたんよ。一定期間は地域医療に貢献しますって前提で医学部を受けるぶん受かりやすいんやけど、内実が伴ってなくて、地域医療への志が高い子たちが入ってくるというより、受験テクニックのひとつに成り下がってる現状がある」
地域医療の充実という本来の目的が機能していないですね。
「地域医療の医師を確保するために医局人事も圧力をかけるし、地域にとどまることで返済を免除される奨学金もあったりするんやけど、これはこれで酷な話でね。たとえば医業に就いて何年か経つなかで先端医療を極めたい! って向上心が湧いてきたとしても、入学時の地域医療しばりが足かせになって、都会や海外での研鑽を断念せざるを得なかったりする」
弱冠18歳時の選択が人生を左右してしまうんですね。一方で地域医療も大切でしょうし、何か打開策はないのでしょうか……。
「四年制大学を卒業してから入学する米国やカナダのメディカルスクールみたいな方式のほうが、社会をある程度知ったうえで入学できるメリットはあるやろうね。あるいは他学部からの編入枠を広げて、本当に医学を志す人への門戸をもっと開いてもいいんやないかな」
不公平な医学部入試についてはどうお考えですか?
「大学側の事情もよく分かるんよ。国家試験の合格率を高めるためには現役入学生のほうが記憶力などの点で有利やし、医師になった後も医局で働き続けてくれる人材となると男性のほうが確実やからね。ただ、それなら不透明な点数操作を加えるんじゃなくて、最初から男子だけを募集する等すればいいのにとも思う」
女子医大はあるのに男子医大って聞きませんね。年齢差別も排して東京メンズ医大とか作ればいいですよね!
「そうやんね。ただ、メンズ医大があっても僕はあまり行きたくないかな(笑)。ワーワーキャーキャー言ってもらえないと張り合いが出なさそうやからね」
今年度の流行語大賞には「おっさんずラブ」も候補にあがっていましたが……
「そちらのほうは僕はちょっと遠慮しとくわ(笑)」
先生の門戸も無限ではないんですね。
ともあれ我々おっさんで乾杯~!
(当院匿名精神科医 X べるぶネオ編集部)
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