べるぶネオ
ドキュメント・ザ・舞台裏/「介護事業所」を突撃レポート!(2018/06)
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「介護事業所」のリアルな裏側をお見せします!
当病院の舞台裏を潜入レポートする本企画。
今回は特集記事で紹介された介護事業所にお邪魔して、リアルな現場に迫りたいと思います。
うかがったのは特集記事にも登場する「やまぶきの郷」だ。
1階スペースはグループホームで、高齢者の方々がスタッフとともに日々の暮らしを営んでおられる。
2階スペースは小規模多機能で、デイサービスのような通所に加えて、宿泊と訪問も提供されている。
おうばく病院からクルマで5分くらいの場所にありながら、これまで一度も足を踏み入れたことがなかった筆者であるが、こういう取材を機会に見学できるのはまたとないチャンスである。
さっそくスタッフさんの案内でその内部を紹介していきたい。
1階スタッフ、牧野さん登場
「1階を案内させていただく牧野です」
グループホームでスタッフをつとめる牧野さん、初対面であるが筆者がカメラを向けるとすかさず案内ポーズをとってくださった。
「こんな風に写真撮るんですよね。過去のべるぶネオ読んでますので知ってます(笑)」
いやー、ありがとうございます。取材を進めやすくて助かります!
個室、ホール、キッチン
ではさっそく案内をお願いします。
「個室は利用者の皆さんで満室なのでご覧いただけないんですが、外観はこんな感じです」
部屋の前にはそれぞれ人形や絵などが飾られていてこれは入居されている方の愛着の品であると同時に、認知症の方が自室を間違わないためでもあるという。
「次に、こちらがホールになります」
対面キッチンとオープンにつながる小ぎれいなフロアは、利用者さんがテレビを観たりしてのんびり過ごされる、ぽかぽかと陽当たりのよい空間だ。
テレビ棚には小ぶりながら水槽も置かれていて、1匹の魚が悠々と泳いでいた。
「当初は3~4匹いたんですが、弱肉強食の世界でして(笑)。最後の1匹になって久しいですね」
傍らに座っておられた利用者さんも、「コレ1匹になって3年は経つよ」とおっしゃる。この小さな水槽を何年にもわたって見守ってこられたのだと思うと感慨深い。
キッチンと冷蔵庫も見せてもらっていいですか?
「どうぞどうぞ」と快諾してくださる牧野さんに従って、調理スペースを見せていただく。
清潔な台所に、整理整頓が行き届いた冷蔵庫。我が家とのあまりの違いにしばし茫然としながら取材を進める。
日々の献立と調理はどのように?
「その日の担当スタッフが考えて作ってます。僕もローストビーフとか作ってますよ」
各スタッフが自分の得意料理を披露するので、一般家庭よりもメニューのバラエティに富んでいて、利用者の皆さんにも好評だという。
「高齢者の方々は和食が好みと思われるかもしれませんが、意外にオムライスやハンバーガーも人気メニューなんです」
バスルーム、トイレ
さらに舞台裏へと足を踏み入れていく。
「こちらがバスルームですけど、基本的に普通のお風呂ですよ」
こうおっしゃる牧野さん。しかしよく見ると、随所に手すりが付いていたり、浴槽に小さな椅子があったりして、決して普通ではない。
「利用者の皆さんは自力での入浴が難しいので、浴槽からの立ち上がりを少しでも楽にしていただくためにこういう工夫を取り入れてます」
続いて案内してくださったトイレは、とても広々としていて驚いた。布団さえあれば一人暮らしできそうな面積である。
「ここは車椅子の方のために設計されたトイレなんです。移乗には広さが必要ですし、身体を支える手すりも周囲に降ろせます」
バス・トイレも筆者の想像以上にさまざまな工夫が施されていて、利用者さんの安全確保の大切さがひしひしと伝わってくる。
2階スタッフ、和田さんの登場
1階の取材を終え、引き続いては小規模多機能でスタッフをつとめる和田さんがバトンタッチで案内してくださることに。
和田さんに従って2階スペースを進んでいると、傍らに「当直室」と書かれた一室があったので訊いてみた。
当直もあるんですね。中を見せてもらってもいいですか?
「いいですけど…実は現在、当直は置いていなくて、代わりに物置きになってるんです」
えーっ、当直の代わりに物を置いているって、それ一番ダメなやつじゃないですか!? のっけから掲載NGのダークサイドを踏んでしまったのか。
「このホームを開設する直前までは当直者の勤務が法律で定められていたので、この部屋を設置したんです。それが、いざ開設する段になって法改定されて、当直者は不要ってことになりまして。夜間については夜勤者とオンコール待機で対応するので、当直室は使わなくなったんです」
なるほど、そういうことですかと胸をなでおろす。扉を開けて見せてくださった「当直室」の中は、たしかにモノであふれていた。
「収納場所として重宝しているので、結果的には非常に助かっているんですけどね」
スペースがあるとそのぶんモノが増えるのは、どこも同じのようだ。
続いて案内してくださったホールでは、利用者さんたちがスタッフと話をしたりしながら、ゆったりと過ごしておられた。
利用者の皆さんは日頃、どのように過ごされているんですか?
「ピアノと太極拳のボランティアさんがそれぞれ月4回来てくださって、みんなで歌をうたったり、体操をしたりしています。ボランティアさんの力は大きいですね。私たちスタッフもレクリエーションなど趣向をこらしています」
魔女、ベランダ
フロアを案内してもらっていると突然、女性スタッフさんから声をかけられた。
「取材?だったら和田さんの魔女とベランダも紹介しなくちゃ!」
えっ? 魔女とベランダって?? 筆者が戸惑っていると、和田さんが解説してくださった。
「私たち職員で年に数回、利用者の皆さんに向けて演劇をやっているんです。魔女っていうのは、そのときの僕の役柄でして」
せっかくだから魔女姿も披露してくださいよ~とお願いしてみたところ和田さん、若干照れながらも衣装を着てくださった。
いやはや、パワフルかつ活気ある職場で素晴らしいです(笑)。
ちなみにベランダというのは?
「こちらの屋外スペースになります」とお二人に案内されたのは、暖かい陽光が降りそそぐ、カフェのようなテーブル席だった。
ガーデニングされた藤の花も美しい、とても心落ち着く空間である。園芸が得意なスタッフが中心となって手入れされていて、毎年5月頃には色とりどりのバラも咲くそうだ。
ここは利用者さんとスタッフがお茶を片手に談笑するスペースになっているとのことで、きっと和気あいあいとした憩いと交流の場になっているのだろう。
さいごに
今回取材した「やまぶきの郷」。1階のグループホーム、2階の小規模多機能ともに、利用者の皆さんがいかに安全かつ快適に、そして共に楽しく過ごせるかを大切にしているスタッフさん達の姿が印象的だった。
これからも共に楽しく明るい生活の場をはぐくむスタッフとして、ますますのご活躍を期待しています!
(取材・原稿)臨床心理士・名倉
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