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ドキュメント・ザ・舞台裏/総務管理室のリアルな裏側をお見せします!(2017/6)
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総務管理室のリアルな裏側をお見せします!
当病院の舞台裏を潜入レポートする本企画。
今回は当法人の一般事務を一手に担う縁の下の舞 総務管理室にお邪魔しました。
総務管理室(通称:総務さん)には日頃からお世話になっている
いろんな物品を注文したり、出張費を払ってもらったり、求人の手続きをとってもらったり、年末調整を段取りしてもらったり…。さまざまなコトをお願いしすぎで、逆に普段なにをしてらっしゃるのかよく分からないというのが正直なところだ。
普段は窓口越しのやりとりに終始している総務さんの日常業務はどんな光景なのだろう? もしかすると内部は想像を絶する竜宮城みたいなことになっているんじゃないか!? ああ、気になる!!
……というわけで、いてもたっても居られず総務さんに押しかけ取材したのが今回のレポートです。
橋本さん & まずは金庫から
いつも窓口から遠巻きに眺めるのみで、日頃なかなか足を踏み入れる機会のない総務管理室だけれど今回は押しかけとは言え取材なので、堂々と闖入できるのが嬉しい限りだ。
窓口の横をすり抜け、はやる心を抑えつつ小走りで事務室内に向かう筆者。事前にお願いしていた橋本さん(総務管理室係長)のもとに駆け寄って挨拶する。
べるぶネオの取材でうかがいました~。どうぞよろしくお願いします!
橋本さんはデスクからすくと立ち上がると明るい笑顔で迎えてくださった。
「こちらこそよろしくお願いします。さて、どこからご案内しましょうか?」
ぐっ。どこからと問われても、総務の仕組みをちゃんと分かっていない当方には全く見当がつかない。うわー、どうしよう。
そこでとっさに目にとまったのが眼前のデッカイ箱。とりあえずコレを切り口にして…。
ハイ!それではまず、この大きな箱からご教授ください。
すると橋本さん、デッカイ箱の前にさっと移動し、すみやかに解説が始まった。
「こちらは法人の金庫です。現金だけでなく、職員の皆さんの個人情報などもここで厳重に保管しています」
ちょっとだけ中を見せてもらえませんかねえ?
「できません」
金庫を開けるには管理職者だけが知る暗証番号を入力しなければならず、必要時以外に開けてはいけないのだという。筆者のような胡散くさい闖入者の開錠要請に全く取り合わない橋本さんは、非常に信頼できる職員の鑑である。
日常業務 ~ 人事・給与・用度
金庫の説明を皮切りに、業務全般について話をうかがっていく。
金庫以外には、どういった業務があるんですか?
「大別すると人事、給与、用度の3種類ですね」
人事業務は、優秀な人材を採用する苦労もさることながら、新規採用者と退職者が重なり合う1~3月はとくに多忙を極めるらしい。
給与業務については、約700人の職員を擁する栄仁会だけにMJSという給与計算システムを使っているものの、打刻照合や諸手当入力など手作業も多いうえ、給与明細を出すだけでも一日仕事になるという。橋本さんはそれまでのキリッとした表情をみるみる曇らせて、へたりこみながらおっしゃった。
「給与明細はねぇ……(深いため息)。この旧式のドットプリンタで印刷するんですけど、ここぞという絶妙のタイミングで紙詰まりするわ、故障して動かなくなるわで大変なんです」
おまけに追加手当などは手書きで加筆しなければならず、給与明細の用紙もひとつひとつ手でちぎっては封入するという真心こもったハンドメイドだという。たしかにこれは一日仕事だと納得。
用度業務は、各部署で必要とされる事務用品などの発注がおもな作業になるが、他社のカタログにも広く目を通して、より良くより安い「賢い買い物」を心がけているんだとか。
傍らで発注作業をしている職員の佐々木さんを見ると、何冊もの分厚いカタログに多数の付箋が貼られていて、製品比較への熱意が伝わってくる。
デスクに貼ってある初心者マークが気になったので何なのか尋ねてみたところ、佐々木さんいわく「クルマで買い出しに行くとき車体に貼るんです。私、初心者ドライバーなので」。買い物のために慣れない運転もしなければならないとはタイヘンである。
携行してらっしゃる道具ポーチもついでに拝見させていただくことに。どんな秘密道具が出てくるんだろう……もしかしてヌンチャクみたいなのが仕込まれてたりするのかな……ドキドキ。
そしてジャジャーン!!
中身はボールペンにマジックペン、定規、ハンコ、そしてメモ帳という猛烈に普通な品々で、世の中そうそう甘くないことを再確認いたしました(笑)。
日常業務 ~ 会計
「そろそろ会計のほうに行きましょうか」
こうおっしゃる橋本さんに着いて歩くこと2秒、案内されたのは隣の区画にあるデスクだ。
「ここが会計担当スタッフの机の島になります。法人のお金に関することを全て担っている部署で、法人の中の銀行とも表現されますね」
具体的にはどんな業務をなさっているんでしょう?
「職員へのお金の受け渡しもしますし、各事業所の収支チェックもしますし、レセプト請求額と行政からの収入額の突合せもしますし、通帳管理もしますし、本当に多岐にわたりますね」
さぞかし多額の現金が動いているように思えるが、防犯上できるだけ現金は置かず、週に何度も来る銀行に都度預けるようにしているとのこと。
それでもお金を直接扱う職種であるだけに、お金を扱い慣れた人でないと仕事が務まらないという。
「紙幣の勘定ひとつとっても、お金を触り慣れてない人がやると本当にミスが出やすいんです。会計の職員さんは、前職がJAで会計だったとか、そういう人が多いですね」
当直業務
最後に案内されたのは、ここ当直室だ。
「事務当直の職員は、夜8時から翌朝までここに詰めています。仮眠も取れますが、電話がかかってきたら出ますし、夜間の救急や入院があれば対応に追われて、ほとんど眠れないことも多いですね」
事務当直は数が少ない男性職員で回しているため、一人あたり月4~5回担当していて負担が大きい現状だという。
「なので総務にも男性職員さんがもっと来てほしいんですけど、病院事務というと女性のイメージが強いのか、なかなか人が集まらなくて……」
他部署の求人に追われる総務さんだが、自部署の求人にも苦労されているようである。
お仕事について
今回案内してくださった橋本さんに、お仕事への想いをうかがった。
「いつも意識しているのは、いかにして職員さんに気持ち良く仕事をしてもらうか? に尽きますね」
たとえば、どんなことを意識していますか?
「職員さんから相談を受けたとき、自分の持っている知識や情報だけで即答するのではなく、もっと調べたり訊いたりして、より良い対応ができないか? という視点を忘れないようにしています」
先日も介護休業を希望する職員さんが相談に来られたものの、手持ちの資料で調べたところ、年齢的に給付条件を満たしていなかった。それでも何か使える資源はないかとハローワークに相談してみたところ、今年から条件が変更されていて給付を受けられることが判明し、一挙解決したケースがあったという。
「そして常日頃から職員さんと良好な関係を育んでおくことですね。そうすることで、万一トラブルが発生してもお互いスムーズに解決できることを身を持って感じていますので」
こうおっしゃる橋本さん、気がつけばぽんこつプリンタで曇った表情はすっかり消えていつもの明るい笑顔が戻っていた。
総務管理室の内部は竜宮城のようではなかったけれど、私たち職員が快適に働けるよう日々奮闘してくださっている姿が印象的だった。そして、こうやって職員を第一に考えてくださる総務スタッフさん達がいるからこそ私たち現場スタッフも日々元気に業務に専念できているのだ。
ともすれば当たり前の感覚となってしまいがちな総務さんの支えに対して、感謝の気持ちを忘れないようにしなければと思うと同時に、給与明細用のぽんこつプリンタ問題が解決するよう陰ながら願掛しようと思った今回の取材体験である。
(取材・原稿)臨床心理士・名倉
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