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読まないで!?ドクターXの酔いどれ放言/「患者の高齢化問題について考える担当医」 (2020/02)
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「患者の高齢化問題について考える担当医」
〈終業後、京都市伏見区の居酒屋Fにて〉
本誌も発行が年2回になったので久しぶりですが、いかがお過ごしですか?
「いやー、最近めっきりお腹が出てきてねえ。僕も歳には勝てへんわ」
そんな風には全然見えませんよ。
「大きめのシャツでごまかしてるけど、脱いだらスゴいんだよ。見る?(笑)」
おそれ多すぎて遠慮させていただきます……。とりあえず注文しましょう!
「うーんと、おっ! 牡蠣の季節やね。あと黒糖焼酎のロックで」
〈焼き牡蠣その他で、焼酎から始まって白ワイン1本追加〉
我が国も高齢化が進んでますもんね。
「最近のデータでは救急搬送の約6割が65歳以上らしいし僕が担当してる患者さんも高齢者が増え続けているのは確かやね」
時代の趨勢ですね。
「それで済んだらいいけど、医療現場の問題もいろいろ出てきてるんよ」
といいますと?
「高齢者層が増えるってことは、必然的に認知症の人も増えるわけで。ウチの病院も精神科救急病棟を持ってるけど、当初は比較的若い統合失調症や気分障害の患者さんを想定していたのが、近年は認知症の患者さんも増えていてね」
なるほど。でも、それがなぜ問題なんでしょうか?
「10代の若者から90代の高齢者まで対応する必要があるから、これは病棟としてもタイヘンなんよ。それに高齢で認知症の患者さんは、身体的な合併症を抱えていたり、転倒して骨折するリスクが高かったりするから、精神科病棟では対応が難しかったり、入院が長期化したりするケースが多いんよね」
そうなんですか……。
「認知症で自分の部屋が分からなくなって違う病室に迷いこむと、相手に恐怖心を与える可能性もある。それで個室に入っていただくと、個室対応が望ましい他の患者さんが部屋の順番待ちになったりする」
由々しき問題ですね。改善するにはどうすればいんでしょう?
「部屋に迷いやすい患者さんの病室に視認しやすいイラストを貼っておく等の工夫は、ウチの救急病棟でもよく見かけるようになってきたよ。精神科救急病棟のスタッフも今後は、認知症への対応力をさらに高めてくれると思ってる」
よかったです、安心しました。
「いや、そうすぐに楽観されても困る(笑)。どれだけ病棟の対応力が高くなったとしても、高齢者や認知症の患者さんの場合、入院が長びくと認知症そのものが悪化するケースもあってね。完全に状態が落ち着くまで入院してもらうのが善いかというと、必ずしもそうではないのが難しいところで」 そういうものなんですか。
「だから、ある程度まで良くなったら早期に退院してもらって、あとは地域のかかりつけ医やケアスタッフ、ご家族でサポートしてもらうことも重要になってくる。こういった地域の支援力を高めてもらうことも同時に必要やと思うわ」
なるほど、病院側としては認知症への対応力を高める努力をする必要があるけれど、それだけではなく、地域サポート側としてもかかりつけ医やご家族などの支援力を高めていただく必要があると。
「うん、そのいずれもが両輪のように一丸となって支援することが大切やろうね。入院治療もしくは地域サポートのどちらかだけに押しつけようとすると、どうしても無理や弊害が出てくることになる」
高齢化は避けられない趨勢ですが、認知症にならず健康寿命をまっとうするために心がけていることは何かありますか?
「適度な運動とバランスのとれた食事、禁煙……うーん、ベタなことしか思い浮かばへんなァ。あとは社会的役割を持ち続けることかな。ボランティアとかでもいいと思うし」
この酔いどれ放言の連載もひとつの社会的役割ということで、今後も末永くお願いいたします~。
乾杯~♪
(当院匿名精神科医 X べるぶネオ編集部)
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