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ドキュメント・ザ・舞台裏/PSW(精神保健福祉士)のリアルな裏側をお見せします!(2020/02)
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PSW(精神保健福祉士)のリアルな裏側をお見せします!
当院の舞台裏を潜入レポートする本企画。
今回はPSW太田さんの一日を密着取材しました。
PSW(精神保健福祉士)という職種をご存じだろうか?
精神科領域では言わずと知れた不可欠な存在だけれど、世間一般の人たちに訊いても「相談員さんのこと?」「カウンセラーとはまた違うの?」といった感じで、具体的なイメージを持ちにくい職業のようだ。そこで今回は、当院気鋭のPSW太田さんの一日に密着して、その業務をつぶさに紹介してみたい。
愛車のカブで登場!
朝8時過ぎに病院の正門でカメラ片手に待ち構えていところ、愛車カブに乗った太田さんが颯爽と登場。
朝礼に臨む
定刻の朝8時30分、業務は全体朝礼から始まった。ここでは医事や外来の職員とともに、本日の入院予定や新患予定といった情報を共有する。病院が多職種で成り立っていることを実感するひとときだ。その後はPSWだけで集い、入退院の結果報告を行ってから、届いている入院依頼の申し送りに移る。
日々舞い込む入院依頼は種々あるが、近年は認知症に関するご家族からの相談が増えているという。それ以外にも、かかりつけ医やケアマネージャーからの依頼が随時ある。一日で15件以上にのぼることも多い入院相談を、3人のPSWで対応されているという。
そんな申送りのときも太田さんの携帯(医療用PHS)は鳴りっぱなしだ。
一日に何件くらいの電話がかかってくるんですか?
太田「外の施設やご家族からの電話は日に5件以上、院内の電話は20件以上になりますね」
入院患者さんの退院に向けての相談や、他病院のケースワーカーからの打診、退院した患者さんのご家族からの相談などなど、本当にお忙しそうである。
太田「今日の僕は病棟当番なので、これでもまだ余裕があるんですが、明日は入院受け当番なので、対応にかかりっきりになると思います」
朝の申送りの後は、病棟当番とのことで、担当している入院患者さんを順に訪ねて相談に乗ったり、その病棟に入院があれば診察に陪席したりする。必要に応じて看護師など病棟スタッフに患者さんへの関わり方についてお願いすることもあるとのこと。
太田「食事の食べ方をもっとこういう風に工夫してほしいとか、退院に向けて作業療法にもっと参加していただきたいとか、結構いろいろお願いしてますね。患者さんのためには大切で必要なことですから」
担当されている患者さんは何名くらいなんですか?
太田「入院中の患者さんの担当は35件です。ただ、退院されてからも家族さんやご本人からの相談に乗ることが多くて、こういったケースで50件くらいはありますね」
こうおっしゃいながら太田さん、そのまま病棟に出て、患者さんのもとに向かって行かれた。
職員食堂で食べる
午後1時、職員食堂で待ち合わせてランチタイムとなる。
本日のメニューはメインがクリームスパゲティだが太田さんは白ご飯も加えてのダブル主食で頼もしい限りだ。
食事中も電話がかかってくるんですか?
太田「ええ、しょっちゅうです(笑)。基本的には食べながら対応します。長くなりそうなときは一旦お切りして折り返しますけど、それが重なると業務がどんどんたまっていくので、なるべくその場で対応しますね」
しばらくするとPSW太田さんが隣に座られて情報交換……かと思えば、ここで得られた情報は、太田さんの好物がハンバーグとグラタンで、嫌いなものが銀杏であること。業務上のことは常日頃からしっかり共有しているからこそ、ランチタイムまで使う必要はないのだろう。
午後のカンファレンス
午後のお仕事は引き続き病棟にて、患者さんとの相談や、ご家族をまじえての入院受け等々。限られた時間をやりくりして奔走してらっしゃることがよく分かる。 夕刻4時、担当している患者さんの退院後支援についてのカンファレンスが開催されるというので、同席させていただくことに。
指定された病棟会議室にうかがうと、そこには太田さん以外にも、主治医、受け持ち看護師、区役所職員、弁護士、支援センター職員その他、さまざまな関係者が一堂に会して、患者さんを退院後どう支援していくかに関する細やかな打ち合わせが行われていた。
退院された後の住まいをどうするか?金銭管理をどうするか?どのような社会資源を使うか?家族との関わりはどうするか?などなど、ひとつひとつ各職種からの意見を聞いたうえですり合わせていく光景が印象的なカンファレンスだ。
なお、この日は担当ではなかったけれど、月に5回、グループホームと救急当番で当直勤務を担当しているとのこと。当直明けも基本的には朝から通常勤務なので、「その日のカンファレンスは眠気との戦いでもありますね」と苦笑する太田さんだった。
必須アイテム
業務が一段落されたところで、いくつか質問してみた。
PSWの必須アイテムがあれば見せてください。
太田「まずノートパソコンは欠かせません。電子カルテその他、常に参照・入力しますから。PHSも必須ですね。通話が多いと電池が切れてしまうのが悩みです」
「あとはスケジュール帳とボールペン、フリクションペンでしょうか。予定をしょっちゅう書いたり消したりするので、フリクションペンがあると便利なんです」
ちなみに太田さん、PHSは常にアンテナを延ばして使うのがこだわりなんだとか。
どうしてですか?
太田「アンテナを延ばしたほうが、電磁波が分散されて身体にいいって聞きまして。あまり言うと変な人だと思われそうですけど(笑)」
いえいえ、イワシの頭も信心からと言われますし、プラセボ効果は科学的にも実証されている通り。身体にいいと信じていれば、きっとそうなると思います!
お仕事への思い
最後に、お仕事への思いについて伺った。
このお仕事に就かれたきっかけはありますか?
太田「子どもの頃から祖父母のことが好きだったので、福祉の仕事ができればと考えていたんです。それで大学で学ぶうち、精神科や就労支援の領域にも興味を抱くようになったのがきっかけです」
お仕事のうえで嬉しいことは何ですか?
太田「退院を望んでいる患者さんが、いい形で退院していかれることですね。入院中はある意味、患者さんの人生が一時的に止まっている状態ですが、それが再び動き始める瞬間に立ち会えることは大きな喜びです」
「そして退院された後も調子よく過ごしていただけるよう、退院前にご自宅を訪問して生活上のアドバイスをしたり、退院後に想定される問題をご本人と家族さんを含めてあらかじめ共有して、今後の対処をすり合わせたりしています」
患者さんに寄り添って退院を支えるプロフェッショナル、太田さん。これからもPHSのアンテナをマックスに立てて、健康パワーで患者さんの支援に邁進してください!
(取材と原稿/臨床心理士・名倉)
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