前回のコラムで「高すぎる理想は無意味であるばかりか、費用対効果を著しく下落させて社会不適応につながるおそれがある」ことを書きました。本稿ではこれを補足する形で、理想の高さについて少し掘り下げてみたいと思います。
世の中には理想と現実があります。心理学の用語では、「理想自己」(ideal self)と「現実自己(real self)と呼んでいます。
理想自己というのは「こうありたい自分」のことで、たとえば高校の部活で野球をやっている青年にとっては、「イチロー選手のように大リーグで活躍している自分」だったりします。
一方、現実自己というのは字の通り「実際の自分」のことで、上の例で言うと「高校の野球部に在籍しているが補欠の状態が続いている自分」だったりします。