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症状・疾患用語解説集

アスペルガー症候群(高機能自閉症)

発達障害の 一つで、「知的障害のない自閉症」とも呼ばれます。
知的能力は保たれている一方、共感性の欠如や特定の事柄への熱中性(こだわり)などの特徴があるため他 者と情緒的な交流が難しく、社会的な不適応を起こしやすいと言われています。適応が困難になれば、適切な診断・治療とサポートが必要となります。

アルコール依存症

昔は「アルコール中毒」「アル中」などと呼ばれていました。
お酒の量を自分でコントロールできなくなり、精神的・身体的な問題が現れた状態です。身体的依 存が形成されると、お酒を断ったときに手の振るえや不安といった禁断症状が現れますが、そこまで進行していなくても、実は精神的依存が形成されている場合 もあるので要注意です。アルコールへの依存を本気で治したい方には、薬物療法や断酒会への参加などの治療法が有効です。

アルツハイマー病

老年期 認知症(痴呆)の代表的な疾患です。
記憶力や見当識(時間・場所)の低下から始まり、次第に脳機能全般が失われていきます。脳の広範囲にわたる萎縮(アミロイド繊維の沈着)が特徴で、完治は難しい病気ですが、現在は有効な薬物療法(病気の進行を遅らせる)が確立されており、早期受診が大切です。

アレキシサイミア

「失感情症」(失感情言語化症)とも言われ、自分自身の感情や衝動を自覚して言葉にする表現能力が乏しい人々のことを意味します。
うまく表現されない感情や衝動はさまざまな身体症状の形となって現れやすく、これが 心身症の基本的なメカニズムだと指摘されています。感情への気づきを深めるカウンセリングが効果的です。

うつ病(単極性障害)

憂うつ感がとても強く、何をする気力も出なくなって日常生活を維持できなくなった状態を指します。
感情面ではなく身体面の症状として現れるタイプのうつ病もあります(仮面うつ病の項目を参照)。
症状の程度がひどくなると自殺の危険性も高まりますので、自分で受容しきれなくなったら早期受診をおすすめします(うつ病のセルフチェック)。
うつ病の治療は、環境調節、薬物療法、心理療法(おもに認知療法)の3つが柱となります。

解離性障害(かいりせいしょうがい)

自分で受容しきれない出来事(外傷体験など)への防衛反応として、ストレス状況下での記憶が欠落してしまったり、気がつけば知らない場所に来ていたりといった現象が起きる障害です。PTSD(心的外傷後ストレス障害)や 境界性人格障害とも密接に関係しています。治療としては、薬物療法以外にも、弁証法的行動療法(DBT)などの効果的な心理療法が確立されつつあります

学習障害

知的機能の発達そのものには問題がないのに、読み・書き・計算といった特定の能力に著しい困難が現れる障害で、LD (Learning Disorder)とも略されます。

原因の多くは中枢神経の先天的な障害にあると考えれています。余談ですが、俳優のトム・クルーズ氏が自ら「読字障害」(学習障害の一種)であることを公表して話題になりました。

仮面うつ病

"Masked depression"の訳語で、元来は「身体症状によってマスクされた(覆われた)うつ病」という意味です。
この症状の方は抑うつ感などの精神症状が乏しく、その代わりにさまざまな身体症状(消化器症状、循環器症状、神経症状など)が現れます。
身体的検査を行っても異常がないため、「自律神経失調症」といった曖昧な診断に終始しがちですが、精神科・心療内科の専門治療を受けることで早期治癒の可能性が高くなります。

緘黙(かんもく)

言葉を発する能力はあるにもかかわらず、まったく喋らない、もしくは喋れない状態を指します。
意図的な場合とそうでない場合とがあり、神経症や激しい感情の動揺、統合失調症など背景要因はさまざまです。
とくに未成年で、家庭では普通に喋れるのに学校など外では喋れない状態は、「場面緘黙」(選択性緘黙)と呼ばれます。

記憶障害

新しい経験や情報を記銘する能力が低下もしくは消失した状態を指します。

器質性健忘(脳梗塞やアルツハイマー型認知症、コルサコフ症候群など)と、心因性健忘(強いストレスや心的外傷を受けたときに起こる解離性健忘)とに大別されます。

これら健忘症状(とくに器質性健忘)は回復が難しいと言われていましたが、近年、記憶をつかさどる神経細胞の機能は再び回復し得ることが実証され、リハビリテーション治療の可能性に注目が集まっています。

ギャンブル依存

パチンコや賭博行為などのギャンブルに対して自己コントロール能力を失った状態です。

意志の力では歯止めが利かず、借金を重ねて生活が破綻するケースもしばしば見かけます。

精神療法・薬物療法のほか、ギャンブル依存症に特化した自助グループへの参加が治療上有効だとされおり、事態が深刻化する前に早期受診・治療することが肝要です。

共依存

「自分が他者に必要とされることによってしか自分の存在価値を実感できない」という、いわば人間関係自体への依存を指す言葉です(ただし病名・診断名ではありません)。
境界例人格障害に多く見られ、「見捨てられ恐怖」「しがみつき」といった対人関係のパターンが顕著に現れます。このような態度は一見すると献身的に見えますが、実は相手からの好意をコントロールしようとする策略であり、次第に操作的で自己中心的なものになりがちです。「アダルトチルドレン」と呼ばれる概念と密接に関係しています。

境界性人格障害(ボーダーライン人格障害)

狂おしいほどの孤独感、見捨てられ不安としがみつき、慢性的な空虚感、情緒不安定、衝動行為などを特徴とする人格障害で、BPD (Borderline Personality Disorder) とも略されます。

リストカット(リスカ)や大量服薬(OD)といった自傷行為が現れる場合も少なくありません。よい治療関係を結べる主治医やカウンセラーとの継続的なセラピーを通じて、少しずつ治療を進めていくことが大切です。

強迫性障害

強迫神経症とも呼ばれ、自分の意志とは関係なく特定の観念が繰り返し頭に浮かぶ「強迫観念」と、それによる不安を打ち消すために行われる「強迫行為」とが見られます。

具体的な症状としては、

・洗浄強迫(例:手を洗うのが止められない/潔癖症)

・確認強迫(例:カギを何度も確認してしまう)

・不完全強迫(例:ちゃんと本を読んだか気になって何度も読み返す)

などがよく見られます。現在では薬物療法と心理療法(行動療法)による治療法が確立しています。

月経前症候群(PMS)

月経の一週間ほど前から起こる、さまざまな身体的・精神的症状の総称です。

身体症状としては下腹部痛、腰痛、頭痛、食欲不振、胃痛などが、精神症状としては抑うつ感、焦燥感、不安、過敏性などがよく見られます。これらの症状は月経開始とともに軽快する場合が大半ですが、日常生活に支障を来たす場合には治療が有効です。

幻覚

実際には存在しない物が見えたり、鳴っていない音が聞こえたりという風に、外界に実在しないものが知覚されたかのように感じられる現象です。
幻覚は、知覚のどこに現れるかによって幻視、幻聴、幻嗅、幻味、幻触、体感幻覚などに分けられます。脳の器質的障害や 薬物依存統合失調症などさまざまな要因によって起こり、病因によって治療法も異なります。

行為障害

幼小児期から青年期に発症する障害で、他者の人権や社会規範を無視するような行為が持続する行動様式を指します。

人や動物に対する攻撃性・加虐性、窃盗や放火などの反社会的行為といった問題行動を繰り返し起こします。性格的には、衝動性、欲求不満耐性の低さ、計画性のなさなどが特徴とされます。

コルサコフ症候群

記銘力の低下や健忘などを主な特徴とする症候群で、アルコール依存症、脳挫傷、認知症などに付随して起こります(とくにアルコール依存症にともなう記憶障害を「コルサコフ精神病」と呼ぶ場合もあります)。
原因としては、海馬や乳頭体を中心とする記憶回路へのダメージが想定されています。この病気は、以前は回復が難しい障害とされていましたが、近年、海馬の神経細胞は可逆的に回復することが示されるとともに、学習療法などのリハビリテーション治療の可能性に注目が集まっています。

自律神経失調症

身体的な異常は認められないにもかかわらず、全身の疲労感、頭痛、めまい、胃腸の不調、不眠といったさまざまな症状に悩まされる状態です。
元来の定義では「自律神経(交感神経&副交感神経)のアンバランスを原因とする病像」を指しますが、昨今では「原因不明の身体症状」を十把一絡げにして自律神経失調症と呼ぶ風潮があります。正確な治療のためには うつ病慢性疲労症候群との鑑別が不可欠であるため、精神科や心療内科など専門家への受診をおすすめします。

思春期妄想症

「自分の身体的な問題(視線や体臭など)のせいで周りの人たちに不愉快な思いをさせている」という確信を、実際にはそうでないにもかかわらず妄想的に抱いてしまう症状です。
思春期に多く発症することから、このような名称がつけられています。代表的なものとしては、「自己臭恐怖」(自分のおならや便のにおいが漏れているという妄想)や「自己視線恐怖」(自分の視線が相手に不愉快な思いをさせているという妄想)などがあります。ただし、症状は似ていても、対人恐怖症統合失調症といった別の病気に基づいているケースもあるため、正しく治療するには専門家による診察が欠かせません。

自閉症

3歳以前に発症する先天的な 発達障害で、対人関係の問題(感情や共感能力が乏しく友だちと遊べない)、言語能力の問題(言葉の遅れ)、強いこだわり(特定の道順に固執するなど)といった特徴が見られます。
記憶力や計算能力など特定の能力だけがずば抜けて高いケースもあり(電話帳の番号をすべて暗記するなど)、これらはサヴァン症候群とも呼ばれますが、部分的には天才的な能力を持っていても、全体としては精神発達遅滞を示す場合がほとんどです。

人格障害

「現在の医学では明らかな疾患とは言えないけれども、考え方や行動が標準からずれているために、本人もしくは周囲の人々が苦しんでいる状態」のことを人格障害と呼んでいます。
以前は「精神病質」(サイコパス)や「異常性格」といった用語で表されていました。具体的な呼称としては、妄想性人格障害、分裂病質人格障害、分裂病型人格障害、反社会性人格障害、境界性人格障害、演技性人格障害、自己愛性人格障害、回避性人格障害、依存性人格障害、強迫性人格障害などがありますが、大切なのは分類ではなく、いかにして「生きづらさ」を解消していくかです。現在では薬物療法のみならず、人格障害に有効な種々の心理療法が確立されつつあります。

心気症

実際には健康体であるにもかかわらず、「自分はガンではないだろうか……」といった具合に、重大な病気に罹っている可能性にとらわれてしまう状態を指します。
身体的検査を受けて問題なしと判定されても不安が拭えず、いくつもの病院を転々とし続けたりします。基本的には神経症の一種と言えますが、うつ病や統合失調症との鑑別が必要な場合もあるため注意が必要です。

心身症

発症や経過に精神的な要因が大きく関わっている身体疾患のことを指します(ただし、うつ病に伴う身体症状などは除く)。
心身症の代表的な疾患としては、胃潰瘍(消化性潰瘍)や 過敏性腸症候群などが挙げられます。自分自身の内的な感情・葛藤への気づきが鈍い人は、心身症になりやすいと言われています。

身体表現性障害

さまざまな身体症状の訴えがあるにもかかわらず、いくら検査しても身体的な原因は見つからない。しかし本人は仮病を使っているのでははく、本当に痛みなどに悩まされていて、そのために生活にも支障をきたしている。…というのが、この障害の典型的な病像です。以前「転換ヒステリー」と呼ばれていた症状は、身体表現性障害のひとつです。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

PTSD (Post Traumatic Stress Disorder) とも略されます。

適応能力を超えるような強い外傷体験(地震、火災、事故、暴行など)の後に、悪夢やフラッシュバック、感情の萎縮、不眠、集中力低下、うつ状態、無力感といったさまざまな症状が引き起こされる障害です。

耐え難い苦痛を伴うため、そのままでは日常生活が破綻してしまう場合もあります。薬物療法だけでは十分な治療効果が得られないことが多く、認知行動療法やEMDR(眼球運動による脱感作および再処理法 )といった精神療法が重視されます。

醜形恐怖(しゅうけいきょうふ)

自分の容姿に関する強迫的なこだわりや劣等感(自分の顔が周囲の人に不快感を与えているのではないか等)から、社会場面に出られなくなったり、整形手術を何度も受けたりして不適応に陥っていく障害で、対人恐怖症のひとつと考えられています。

客観的には平均もしくはそれ以上の容姿を備えている場合のほうが多いのですが、当人は自殺を考えるほど悩んでいることもあるので注意が必要です。

睡眠障害

必要な睡眠時間は個人差が大きいのですが、一般には、「十分な睡眠がとれないために本人が苦痛を感じる状態」のことを睡眠障害と呼びます。

具体的には、なかなか寝付けない、熟睡感が得られない、朝早く目が覚める、夜中に目が覚める、といった訴えがよく聞かれます。原因としては、うつ病や神経症、身体疾患などさまざまな要因があり得ます。その他、ナルコレプシーや睡眠時無呼吸症候群といった疾患もあり、それぞれ専門的な治療が必要となります。

性機能障害

代表的なものとしては、男性では性不能症(インポテンツ)、女性では性交疼痛障害や性的不感症があります。

性同一性障害は、自分の性別に強い違和感を抱き、今と反対の性になりたいという希求や、自分の本当の性別は反対の性であるという確信などにさいなまれる症状を指します。ホルモン療法などの身体的治療もありますが、その適用は慎重な精神療法(カウンセリング)の後に限られます。

精神遅滞(精神発達遅滞)

全体的な知的水準の障害と定義され、知的発達水準の遅れと社会的適応能力の弱さから評価されます。

ただし、その原因にはさまざまあり、背景となる基礎疾患がある場合には、それに応じた病名がつけられます。不適応状態にある方を援助する際には、それが努力によって改善するものか、それとも能力自体に限界があるのかを正確にアセスメントすることが必要不可欠であり、精神遅滞の有無も重要な情報となります。

摂食障害

拒食症(神経性食欲不振症、思春期やせ症)、過食症(神経性大食症)などの種類があり、両方の症状を持つ場合や過食嘔吐を繰り返す場合も多く見られます。

原因は多様で精神病理も明確にはなっていませんが、人格的要因、ストレス、家族関係、極端なダイエット願望などが想定されています。難治性のケースも見られますが、有効な薬物療法および心理療法が確立されつつあります。

躁うつ病(双極性障害)

「躁」と「うつ」の両方の病相を持つタイプの気分障害です。

「躁」というのは常軌を逸したハイな状態を指し、大きな買い物をどんどんする、次々と新しい計画を立てる、のべつまくなしに電話をかけるなどの行動によって、日常生活が次第に破綻していきます。

双極性障害はさらに二つに分けられ、はっきりとした躁状態がみられるものを双極1型、躁状態が軽微かほとんど見られないものを双極2型と呼んでいます。なお、躁とうつを年に4回以上繰り返すものを急速交代型(ラピッド・サイクラー)と呼ぶ場合もあります。

対人恐怖症

恥をかくのではないかという不安・恐怖から、他者と接触を恐れ、避けるようになる症状です。

社会不安障害(SAD)と呼ばれることもあります。日本特有の「恥の文化」と関連が深く、日本人にはとくに多いと言われています。視線恐怖、赤面恐怖、発汗恐怖といった症状も、その多くは対人恐怖と考えられます。

対人恐怖への治療としては以前から森田療法が知られており、近年ではカウンセリングによる認知行動的介入が成果をあげています。

多重人格

現在の分類では「解離性同一性障害」とされます。その多くは、繰り返される心的外傷(トラウマ)経験から自我を守るために、「心的外傷を受けたのは自分ではなく別の人格なのだ」という防衛反応が無意識のうちに働いた結果です。

心的外傷を受けている間は別の人格が現れて自我を守り、その間の意識や記憶は全く残らない。…このような生活が続くうちに、別の人格に切り替わっている間の記憶喪失が顕著になり、自分自身の同一性(連続性)が失われていくのが多重人格だと言えます。治療には薬物療法と心理療法の併用が有効ですが、長期にわたる治療関係が求められます。

チック

身体の特定の部分を習慣的・半自動的に動かしてしまう行為のことで、典型的なものとしては、まばたきをする、額にしわを寄せる、頬や鼻をピクピクさせる、肩を上下させるなどの運動性チックがあります(広く知られている例としてはビートたけし氏の肩すくめがあります)。

ある程度は自制できても、長時間にわたって我慢するのは困難です。治療に際しては、環境調整に加えて、精神療法にも一定の効果があるとされています。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

注意力の欠如(ひとつの活動に集中できない、ある事柄に注意が向くと他の大切なことをすぐに忘れてしまう等)、落ち着きのなさ(じっとしていなければならない状況でも身体がソワソワ動いてしまう、過度に喋りすぎてしまう等)といった特徴が著しく目立つ症候群です。

アメリカのカウンセラーによる『片づけられない女たち』は、女性のADHDの姿を描いた著書として有名になりました。

てんかん(癲癇)

「突然意識を失って口から泡を吹いて卒倒する」というイメージで語られがちですが、これは「てんかん発作」の典型例で、実際のてんかん発作は、意識障害や痙攣をはじめさまざまな様態をとります。

てんかん発作を主症状とする慢性の大脳疾患が「てんかん」で、脳の神経細胞の異常放電が原因と考えられています。同様の発作は低血糖や失神、ヒステリー発作等でも起こりますが、脳波検査によって鑑別できます。現在は抗てんかん薬によって大半の発作がコントロールできます。

統合失調症(精神分裂病)

・幻聴:テレパシーなど実在しない音が聞こえたりする

妄想:実際はそうでないのに周囲から迫害されていると感じたりする

・自我障害:自分の考えていることが筒抜けになっていると感じたりする

といった病的体験を通じて、現実と非現実の区別が失われてしまう精神病です。

混乱・興奮のために思考や会話にまとまりがなくなり、長期的には感情が乏しくなる、周囲に対して無関心になるといった「陰性症状」が現れてきます。統合失調症は人口の120人に1人程度が罹患する決して珍しくない病気ですが、現在は優れた治療薬が数多く開発されています。早期治療が非常に重要です。

トゥレット障害(ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群)

チック症のひとつで、汚言チック(卑猥な言葉や罵倒語を叫んだりする)が最大の特徴です。注意集中の困難や多動を伴うこともあります。
社会場面で性的な言葉を叫ぶ、といった反社会的な行動がコントロールできないため、社会不適応を起こしやすく、未治療のまま放置することには問題があります。

認知症(痴呆)

アルツハイマー病による脳萎縮やレビー小体型認知症脳血管性障害などによって、記憶力や判断思考能力といったさまざまな知的能力が低下していく病気です。

年齢を重ねると誰でも物忘れが多くなりますし、さまざまな能力低下も自然現象のひとつと考えられますが、認知症の場合はそれが病的で、生活上に大きな支障が生じてきます。たとえば認知症では、「ものの名前が出てこない」というレベルではなく、「経験したこと自体を忘れてしまう」というレベルで健忘が現れますし、病気の進行にともなって性格の変化が現れることもあります。完治は難しい病気ですが、現在は有効な薬物療法(病気の進行を遅らせる)が確立されており、早期受診が大切です。

ノイローゼ

もともとは「神経症」を意味する言葉ですが、世間的にはそれよりも少し軽い、「心の不調」程度のニュアンスで使われる場合が多いようです。

その多くは神経質な性格に端を発しており、過敏で繊細なタイプの人がなりやすい傾向にあります。ノイローゼも日常生活に支障をきたし始めたら、重い神経症になってしまう前に早期受診されることをお勧めします。

脳血管性障害

脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などを指す言葉で、急性のものは「脳卒中」と呼ばれますが、目立った自覚症状がないまま慢性的に進行する場合もあります。
これらに伴って生じた知的機能の低下が脳血管性認知症(痴呆)です。アルツハイマー病が記憶能力を筆頭として知的機能全般の低下を引き起こすのに対して、脳血管性認知症は「まだら認知症(痴呆)」と言われるように、能力のばらつき(保たれている部分と低下した部分の落差)が大きいことが特徴です。

発達障害

代表的なものとして、 精神遅滞アスペルガー症候群注意欠陥多動性障害学習障害などがあります。

発達の遅れというと、親の養育態度や愛情に問題があったのではないかと見られがちですが、発達障害は脳の先天的・生物学的障害です。
発達障害があっても、小さい頃から正しい指導を行うことによって、その後の社会適応は高くなります。まずはきちんとした診断を受け、正しい関わりかたを会得することが大切です。

パニック障害

呼吸困難や動悸、めまい、吐き気などの症状に突然襲われ、「このまま発狂するのではないか」「死んでしまうのではないか」というような強烈な不安に圧倒されてしまう。しかし実際には身体的な異常はなく、数時間以内には回復する。

しかし、このような発作(パニック発作)を繰り返すうちに、「また同じようなことが起こるのではないか?」という予期不安にさいなまれるようになり、発作が起きたときに逃げられなかったり助けが期待できなかったりする場面(特急電車など)を極端に避けるようになってしまう。…というのが典型的なパニック障害の病像です。

以前に不安神経症や心臓神経症などと呼ばれていた症状も、パニック障害の一種と考えられます。

引きこもり

精神障害が原因とは考えにくいにもかかわらず、自宅等に引きこもって六ヶ月以上社会参加しない(そして家族以外に人間関係がない)状態を指します。
引きこもりは放置しても変化が起こりにくいため、家族が本人に治療を受けるよう説得しなければならないケースもあります。
世間体を気にして隠そうとしたり、誰にも相談せずに解決しようとして抱え込んでしまうと膠着状態に陥りやすいので注意が必要です。なお、 統合失調症などの精神疾患によって引きこもり状態が生じている場合もあり、鑑別には専門家による診断が不可欠です。

ヒステリー

世間的には、ヒステリーというと「感情的・直情的で、興奮すると感情のコントロールできなくなる」ような人を指すようですが、本来の意味は異なります。
現実の問題に直面するだけの自我の強さがないために、無意識のうちに問題を回避しようとして意識が消失したり、手足が動かなくなったり、声が出なくなったりする病態が「ヒステリー」です。
はじめのうちは身体疾患との区別がつかず、内科などの一般科を受診される場合も多いようですが、身体的な異常は見つかりません。現在の診断基準では、ヒステリーは 解離性障害身体表現性障害に分類されます。

ピック病

認知症(痴呆)の一種で、アルツハイマー病が記憶能力を筆頭として知的機能全般の低下を引き起こすのに対して、ピック病ではまず性格変化や異常行動(衝動性、軽蔑したような態度、無関心、立ち去り行動など)が現れます。

会話中に同じ言葉を何度も反復して繰り返す「滞続言語」など特有の症状も認められます。原因としては、大脳(おもに側頭葉・前頭葉)の萎縮が想定されています。

非定型精神病

代表的な精神病である「統合失調症」と「躁うつ病」の両方の要素を併せ持ち、そのどちらとも断定できない病像群のことを指す言葉です。
病像はさまざまですが、しばらくうつ病(もしくは躁病)のような状態が続いた後、幻覚や妄想、精神運動興奮といった統合失調症の様な症状が出現するケースが典型例です。他の精神病と同じく優れた治療薬が数多く開発されており、適切な治療によって症状のコントロールが可能です。

不登校

経済的理由や身体的・精神的疾患がないにもかかわらず、心理的な原因によって長期にわたって登校しない(できない)状態を指します。

以前は「登校拒否」とも呼ばれていました。登校時間になると腹痛やめまいといった症状を訴える場合も多く、こういった心身症的なケースも含めて不登校と呼ぶ風潮にあるようです。

慢性疲労症候群

CFS (Chronic Fatigue Syndrome)とも略されます。

発熱や関節痛、喉の痛みなどを伴って、強い倦怠感が長期間続く病態で、そのために社会生活が送れなくなるケースもあります。

原因はいまだに特定されておらず、ウイルス説が有力ですが、免疫異常や内分泌異常であるとの説もあり、はたまた心因による疾患であるとの見解もありで、一定した結果は報告されていません。それだけに、診断には慎重なアセスメントが要されます。