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【BUCきょうとメンバーブログ】第113回「桜の時季に思うこと」

2021年4月 8日 (木)

 1年の中でどの時季が一番特別と感じるかと問われたら、私は間違いなく桜の時季だと答える。日本には四季折々、たくさんの花が咲く。早春に咲く梅の花や菜の花、新緑の季節に咲く藤の花、梅雨の時季には紫陽花などそれぞれ美しく趣があり、私も好きだ。しかし、桜の花は私にとってそれらの花とは違う意味合いを持っている気がする。

 

 桜の花が咲く頃は、気温が温かくなってきて外出しやすくなる時季である。外に出るとふんわりと春の匂いがする。そうすると、何となく浮き浮きした気分になってくる。そんな気分の時に桜をみると、「あぁ、春がきたんだなぁ」という思いを一層掻き立ててくれる。それが私に特別感を抱かせるのだろう。

 

 それだけではない。桜の花は美しく艶やかである。しかし、それにもまして儚い。花が咲いている期間はせいぜい2週間前後である。桜の花びらが風に舞い散る様はとても綺麗であるが、同時に物悲しくもある。このようにその時々の気持ちを桜の花は様々な面を見せながら代弁してくれる。私の気持ちに寄り添い、物語ってくれる。桜の時季は人との別れと出会いの時季でもある。この時季に特有の私の気持ちの揺れ動きに桜の花が寄り添ってくれる気がするのだ。

 

 私にとって昨年の桜の開花時季は、約4ヵ月の休職期間を終え、復職する時期であった。復職最初の日の朝、通勤で乗るバスの中から公園に咲く桜の花をドキドキした、なんとも不安な気持ちで眺めていたのを今でも鮮明に覚えている。桜の花は私にとって感情の記憶装置でもある。しかし、その復職は長くは続かなかった。僅か1ヵ月半で再休職することになった。その後、昨年6月下旬からBUCに通い始め、9ヵ月が経とうとしている。今回のBUC通所では様々なことを学び、またこれまでにない気づきも得た。まだ、復職する自信までは無いけれど、“何とかなるか”という漠然とした感覚は持てるようになってきたと思う。

 

Photo

 今年もまた、桜の花は咲く。今年の桜は私の目にどのように映るのだろうか?

ペンネーム:ソルトパワー

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