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BUCきょうとメンバーブログ】第89回:【長年のモヤモヤと、幸せな結末】

2020年4月23日 (木)

「子供の頃に聴いた曲が何だったのか思い出せず、モヤモヤする」っていうこと、ありますか?僕はよくあります。そんな中、先日Youtubeでその内の1曲が偶然見つかり、長年のモヤモヤが解決してスッキリするという経験をしました。Youtubeって偉大ですね。

ちなみにそれは「レンズマン」という80年代のアニメのエンディング曲でした。原作は戦前のアメリカのSF小説で、レトロフューチャー感がいい味を出しています。久しぶりにその曲を聴いてみると、「すごいメカが満載の宇宙船」とか「異星人の仲間」とか、そういうポジティブでキラキラした未来に憧れた少年時代の記憶が蘇って来ました。と同時に、ふと「今の作品にないもの」も見えたような気がしたのです。

 昨年末に観たスター・ウォーズの最終章。映画館でエンドロールが流れた時、「お金もかかってて見せ場も盛りだくさんだったけど、子どもの頃に観たスター・ウォーズに比べて、ほんの少し何かが足りないんだよなぁ…」という感覚が残りました。でもそれが一体何なのか、正直あんまりよく分からないままモヤモヤしていたのです。そんな折、Youtubeの一件をきっかけに、そのモヤモヤの正体が自分の中にある「未知の世界へのワクワク感」みたいなものだと気付きました。

「ああ、なるほど。」一応の正体らしきものを自覚し、とりあえずはスッキリした僕。しかし人間とは欲が深い生き物です。そんなきわめて個人的な感覚を、「誰かと分かち合いたい」。そんな風に考えるようになりました。そこで、本が好きな大学時代の先輩たちと連絡を取って、理解してもらえるかどうか不安に思いながら、そのフワフワした感覚を(それ以上にフワフワな言葉で)恐るおそる説明してみたのです。すると、先輩のうちの一人が、「ああ、それは『センス・オブ・ワンダー』と呼ばれるものだよ」と(わりと秒で)教えてくれました。

「センス・オブ・ワンダー」。ネットの辞書によると「一定の対象(SF作品・自然等)に触れることで受ける、ある種の不思議な感動、または不思議な心理的感覚を表現する概念であり、それを言い表すための言葉」とありました。さらに「それは1930~40年代のSF作品に見られる特徴であり、70年代におけるアメリカのSFはそれを取り戻そうとした傾向が見られる」とのことでした。それを読んだ時、僕はなんとも言えない嬉しさがこみ上げてきたのでした。

この掴みどころのない感覚を他の人に話して理解してもらえたこと、この感覚が予想よりもメジャーなものだということ、しかもそれをひと言で表す言葉まで存在するということ。「言葉って不自由だけれど、それでもチャレンジして人と話して良かった。同じ感覚を他人と分かち合うって素晴らしいなぁ。」そんな感覚を久々に味わえて、幸せな瞬間でした。

 

(ペンネーム:M・Y)

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