おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2022年4月 1日 (金)
月刊きょうと/「BUCと私」(2022年4月)
今月は、NYさんに、BUC通所のきっかけから、通所される中での気づきや思いなどを書いていただきました。
私が、BUCの通所を始めたのは去年の夏です。きっかけは、会社からリワークを勧められたからであり、それまではリワークというものの存在もあまりよく知りませんでした。
週3日のショートケアからスタートしましたが、まず人に慣れるということがとても大変でした。休職してからBUC通所までに自宅療養の期間がしばらくあり、その間に他人と関わることと言えば、病院かスーパーくらいでした。そんな私でしたので、30人ほどメンバーさんがいる部屋の中で、ただ席に座っているだけでもかなり疲労感がありました。プログラムでメンバーさんやスタッフさんと話すときに、頭が真っ白になってうまく話せないということも多々ありました。
少し通所に慣れてくると、通所の時間、日数が増えていきます。一歩ずつ前進しているようで嬉しい気持ちもありますが、同時にどんどん新しいプログラムに参加していくことになるので不安も大きかったです。新しいプログラムは、メンバーさんと一緒に行うものばかりなので、参加するたびに帰宅後はぐったりしていました。
そのような状態が続いていましたが、通所から半年過ぎた頃からようやく疲労感よりも楽しさの方がだんだん上回るようになっていきました。この変化には自分でも驚きました。
メンバーさんは、年齢も、業種も職種も、趣味もさまざまです。自分では思いつかない考えを知ることができたり、自分の知らない仕事や趣味の世界が少し見えたりします。今までの私は、自分が何か話さなければならないということにとらわれていました。しかし、メンバーさんの考えについて「なぜそう思うのか?」という疑問があればそれについて聞けば良いし、自分の知らない仕事や趣味について「知りたい」と思えば、それについて聞けば良いだけだったのだと気付きました。そのことに気づいてからは、いろいろなことを知るのが楽しいと思うようになり、楽しいという気持ちが生まれると心にもゆとりが出てきました。そして、ゆとりが生まれることで会話をすることが楽しいと思えるようになりました。
もしかしたら休職前までは当たり前にできていたことだったのかもしれませんが、これに気づけたことでずいぶん楽になりました。気づかなければ、今も毎日疲労感いっぱいで通所していたかもしれません。
このことも含めて、自分1人では気づけなかったなと思うことがいくつかあります。最初はよく分からないまま通い始めたリワークでしたが、今は通ってよかったなと思っています。