おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2021年12月 1日 (水)
月刊きょうと/「京都府立植物園のすすめ」(2021年12月)
今回はメンバーのYさんに、「京都府立植物園のすすめ」を執筆いただきました。
月刊きょうとの巻頭エッセイを仰せつかったので、今日は私が好きな京都府立植物園について紹介したいと思います。
京都府立植物園は大正時代にできた日本最古の公立植物園です。二〇一四年で創立一〇〇周年を迎えます。入園料は二〇〇円、年間パスポートでも一〇〇〇円と、とてもお手頃です。植物園北部の観覧温室に入る場合は温室入口で別途二〇〇円が必要です。観覧温室も日本最大級の大きさで、八つの部屋をそれぞれ異なる気象条件で管理し、熱帯植物から高山植物まで様々な貴重な植物を育てているので、追加で二〇〇円を払う価値は存分にあると思います。その他にもBUCの皆さんにお勧めできるポイントとして以下のような点があります。
■ウォーキングになる
府立植物園はとても広大です。園内に様々な区画に分かれていて、半分ほど回るだけでも数千歩がカウントされます。以前普通の道のウォーキングだと歩くだけになって退屈だという声を聴いたことがあるのですが、植物園であれば区画ごとに植生が分けられているので、区画を移るたびに新たな発見があり飽きません。疲れてもたくさんのベンチや園内カフェがあるので休憩することができます。
■マインドフルネスになる
課題図書の「Go Wild」によると、現代でも狩猟採集生活に近い行動をしている狩人の脳の状態は、マインドフルネス瞑想をしている人の脳の状態にとても近いそうです。筆者は狩猟採集民の「今ここ」に全意識を集中して、目に映る様々なものに興味関心を持つ態度は、まさに気づきの瞑想ともいわれるマインドフルネスの心境に近いからだと解説していたかと思います。植物園にはかなり珍しい植物が沢山植えられているし、リピートする場合も季節ごとに見頃の花や木が移り変わっているので、散歩しているだけで常に新しい発見に満ちています。私の場合は植物園を散歩することがマインドフルネスに近い効果があったと感じています。種としての人間を見た場合、文明社会で暮らした時間より森で暮らした時間の方がずっと長いので、本能的に緑が落ち着くというのもあったかもしれません。
■草木の名前を知る
マインドフルネスは今に集中することも大事ですが、対象に興味関心を持つこともかなり重要だと思っています。草木の名前や知識を得ていると、後々散歩やウォーキングをしているときにも路傍の草木に興味関心を持てて、これまでと違った視点からいつもの道を見ることができるようになり、それが刺激になり新たな発見にも繋がります。
草木の名前を調べるとき、スマホのGoogle Lensというアプリは、無償で写真から名前や情報を検索してくれてとても便利です。ここ最近植物に関してもその精度がかなり高くなっており、一般的な植物であれば大抵の植物に関しては正しく名前を出してくれます。有償でもよければ月三〇〇円程度で植物専門画像解析アプリもいくつか販売されていて、それらを使うとより精度良く調べることができるでしょう。府立植物園には図書コーナーもあるので、花をよく覚えておいてアナログに図鑑で探すのもよいと思います。
■紅葉のライトアップと開園時間延長
京都府立植物園は通常十七時三十分閉園で十六時三十分までに入園が必要なため、十五時三十分にBUCが終了してから行くとぎりぎりになるのですが、紅葉シーズンの十一月一三日(土)から十二月五日(日)、紅葉ライトアップ期間として二十時三十分閉園で十九時三十分まで入園が可能となるようです。京都では貴重な比較的空いている紅葉スポットでもあると思うので、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。