おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2021年9月 1日 (水)
月刊きょうと/「回復の源」(2021年9月)
今回は、メンバーのMKさんに「回復の源」という題名でエッセイを執筆していただきました。
医師から診断名を言われても、自分は病気になったと思えず、私はあの苦しい職場から逃げたのだと思いました。自分だけが逃げてしまって申し訳ない、けど、あの職場に行く気力も体力も今の自分にはない。これが私の能力の限界だと感じていました。一方で、本当はもう少し我慢できたはずなのに、休職という道に安易にすすんでしまったのではないかという罪悪感もありました。病識がないままに休職に入り、3か月間の診断書が切れたら、復職するつもりでいました。
BUCに通所することにしたのは、クリニックに通院してカウンセリングを受けていたことで、『月刊きょうと』や『べるぶ』を読んでいたりカウンセラーさんから情報をもらったりして、復職トレーニングに興味を持っていたことが大きいと思います。このままではまた同じようなことになる、少しは変わらないといけないという思いがあり、私の中でごく自然に選択できました。
通所し出してからは、BUCに通所することが今の私の仕事だから、精一杯やろうと気持ちを切り替えました。課題図書を読んだら、自分に何が起こったのかが分かりました。今まで理解していた『うつ病』とは全く違いました。何度か職場で研修を受けてきましたが、分かっていなかったのです。そして、『うつ病』になったことを受け入れられるようになりました。自分の気持ちが弱かったわけでも、逃げたわけでもなかった、病気になったのだと理解しました。
病気に対する理解が深まっていく中で、どこを変えていけばよいのかが分かるようになっていきました。実際に変わることは簡単ではないですが、いろいろなやり方があることを知り、あきらめずに試していく中で、変わっていけるという手ごたえを感じています。
最後に、“BUCは楽しい”
入所当初から卒業する間際の課題に追われている今でも、そう思います。私の1年4か月間の通所を支えてくれたのは、この思いです。はじめは、自分一人の時間が持てることや読書に集中できることが楽しかったです。読書は学びの時間であり、癒しの時間でした。今は、同じような病気になったメンバーさんとひとつひとつのプログラムに取り組んでいくことが楽しいです。メンバーさんが居たから、学びが深まり楽しさが膨らみました。
復職トレーニングに通うことが楽しいと言ったら不謹慎に思われるかもと思って公言はしていませんが、何年間も感じていなかった楽しさを感じたから、私は回復していったのだと思っています。ここで出会ったすべてのメンバーさんとスタッフさんに感謝しています。ありがとうございました。