おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2021年7月 1日 (木)
月刊きょうと/「BUCで過ごした日々を振り返る」(2021年7月)
今回は、メンバーのビッグアトロさんに「BUCで過ごした日々を振り返る」という題名でエッセイを執筆していただきました。ご自身が感じる変化について綴られています。ぜひご覧下さい。
2020年7月から休職し、10月からバックアップセンター・きょうと(以下BUC)に通所することになった。通所する前はリワークプログラムへの参加に対して懐疑的で、この歳になって「うつ病」や「自分のこと」を理解してどうなるんだ、と考えていた。とはいえ、会社からリワークプログラムの完了を復職の条件とする、とされたので致し方がない。
入所して、ステージⅠから開始する。課題図書を読書して、要約する日々。眠い、楽しくない、こんな状態が半年以上も続くのか、と途方に暮れていた。その中でクラフトのプログラム(ペーパークラフトを作成し、雑談する)は楽しいと感じた。テーマに沿った雑談をしながら、ペーパークラフトを作成する。他のメンバーの話を聞くと、興味がわき、それについて雑談が広がる。この雑談を通じメンバーとも仲良くなれた。
この頃のステージⅡに上がる頃が一番暇でデスクワーク中課題図書の読書・要約しかすることがない。眠い、楽しくない。そんな中、窓から見える東本願寺が日によって表情を変える。
ステージⅡに上がると徐々にプログラムが増える。コミュニケーション講座、ストレスマネジメント講座ではロールプレイで気分は俳優に。この頃から自分の中に変化が現れてきたことを感じた。朝起きてから通所するまでのエッセイを書く課題。自分は朝起きてから通所するまで、他人のマナー違反の行動を見て常にイライラしていたことを書いた。この時、自分の思考が他のメンバーとあまりにも違うことに愕然とした。他のメンバーは鳥のさえずり、心地よい朝の日差し、朝食やコーヒーの香りを感じていた。これが個人の特性の違いなのかと気付かされた。課題図書でも、自分の特性に「べき思考」(こうあるべきとマイルールに従った考え方)、「白か黒か」(0か100かの完璧思考の極端な考え方)が非常に強いことがわかった。自分の行動の特性が理解できた。
ステージⅡからⅢではBUC会議、チームプレゼンなど、他のメンバーと協力して作業することが始まる。考え方の違うメンバーとの協調性が問われる。自分の苦手なところだ。それと最も重要なことが自分を振り返り、特性を理解し、その特性に対する対処法の作成。これが手強かった。過去、その時に感じていた自分の気持ちがわからない。自分が気持ちの変化にすごく鈍感なことがわかった。この頃からマインドフルネス(瞑想)の有効性が理解できてきた。寝る前、頭の中をネガティブな思考に占拠され、グルグルと巡り始めると、マインドフルネスで呼吸に集中し、呼吸数を数えるようになった。するといつの間にか、眠れるようになっていた。
この頃に実行委員リーダを仰せつかり、期限に追われた作業をやり遂げることで作業の楽しさ、実行委員メンバーとの成功体験の共感、復職に向けた手応えなどを味わうことができた。なにより、メンバー、BUCのスタッフさんとの関わりを通し、人と会話することがこんなに楽しかった、ということを思い出すことができた。
現在、復職ステージで復職に向けて、さらに自分の特性との付き合い方をブラッシュアップしているところである。
妻からは、最近、顔の表情が3mm程度柔らかくなったと好評を得ている。
最後に私は選ばれしダイエットGの精鋭メンバーであることを記しておく。