おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2020年12月 1日 (火)
月刊きょうと/「犬と観葉植物と私」(2020年12月)
今回はメンバーのSさんに、実家の犬と観葉植物ついて書いていただきました。
単身&人見知りの私は、BUCに通って人と関わることの難しさ・楽しさ・ありがたさを日々感じております。今回は、私の人生に良い影響を与えてくれた「人以外の生き物」である、実家の犬と、自宅の観葉植物についてお話したいと思います。
【実家の犬】
エピソード①妹ができた…私が13歳の秋のこと。当時、病み上がりで体力を失い、部活で仲間について行けず、つらい思いをしていた。そんな折に母が、私の心を癒すために&情操教育のために、家に犬を迎えようと提案したのだ。とりあえずペット用品を買いに訪れたホームセンターで、いつもは冷静な父が突然「この子にしよう」と、シェットランド・シープドッグの子犬を半ば衝動的に購入した。きょうだいのいない私に、突然妹ができた。
エピソード②子守…妹が1歳のとき、家に親戚の赤ちゃんが遊びに来た。妹はゆっくり近づいて、赤ちゃんと目線の高さを合わせるように床に伏せ、触られるに任せていた。赤ちゃんのことを守るべき存在だと認識しているようで、感心させられた。
エピソード③非暴力・不服従…私が気まぐれでお座りを命じると、妹は理不尽な命令と察してため息をつき、そっぽを向いて寝転がった。「言うことを聞かないなら枕になってもらおう」と枕にするが、目を閉じて動かない。「モップにちょうどいいな」と床の上を引き回しても、反抗することなく寝たふりを続けていた。
エピソード④看病…私がインフルエンザで寝込んでいたとき、妹は1時間おきに枕元にやってきて、心配そうな顔を私に向けた。普段の仕打ちに対して仕返しをしようという、邪な心を持ってはいないようであった。自分の方が幼稚であるように思え、妹が何だか姉のように見えてきた。
エピソード⑤お迎え…姉が7歳のとき、自分は実家を離れ、大学生として一人暮らしをしていた。帰省する前日、実家に電話をした。
私「明日帰る。午後2時ころに着く予定」
母「分かった。(姉に)『明日兄が帰ってくるって』…ちょっと、あんたが帰ってくるって教えたら、姉がそわそわし出したよ」
そして翌日――
私「あと30分で家に着くから」
母「はーい。(姉に)『もうすぐ来るよ』」
姉はやおら立ち上がると、玄関に向かったそうだ。帰宅した私が、姉を驚かそうと新聞受けから玄関をのぞいてみると、そこには寝ている姉の姿が――
私「はい番犬失格」
姉「…! 違う違う!寝てないって!」
母「お迎えしようって、自分から玄関に行って待ってたよ」
【自宅の観葉植物】
エピソード①静かな同居人…私が30歳の冬のこと。仕事のストレスからうつ病を発症してしまい、しばらく母に身の回りの世話をしてもらった。部屋が殺風景だからと、母が観葉植物「ペペロミア」を1鉢買ってきた。草丈は30cmで、厚い葉が10枚ほど出ていた。
エピソード②成長…週に1~2回水をやり、2~3か月に1回肥料をやって、2年後には70cmに成長した。夏の日中は部屋の温度が35℃を超えることもあったが、耐えてくれた。
エピソード③開花…3年目、葉の間から穂のようなものが出てきた。最初は病気か?と心配したが、花であった。翌年は2回花をつけた。
エピソード④会話…5年目にして丈が私の身長を超え、一番大きなサイズの鉢に植え替えた。「ごめん、これ以上伸びるとちょっと困るなあ」と声をかけたら、伸びるのが止まり、根元から新しい葉が出てきた。
動物・植物も家族と思って大切にしましょう。