おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2020年8月 1日 (土)
月刊きょうと/「ストレス?」(2020年8月)
今回はメンバーのカレーは飲み物さん(男性)に、「ストレス?」について書いていただきました。
これはまだ私が休職する前のこと。仕事上、トラブルや不測の事態が多かったのですが、それを特にストレスと感じることがありませんでした。いや、もっというと、ストレスというものを感じたことは一切ありませんでした。仕事がうまくいっていた訳でも何でもありません、自分の負の感情に全く気付くことがなかったのです。緊張も不安も、焦燥感なども全く感じることがありませんでした。この感覚が分からない方には「こいつは何を言っているんだ」と思うかもしれませんが、私は自分が負の感情に気づいていないことに気づいていませんでした。私にとって負の感情は日常的に起きる事ではなく、人生にかなり大きな影響のあるイベントごとにだけ発生するものだったのです。
そんな私はある時から体調が優れなくなり、会社に行くこともできず、休職することになりました。医師からはストレスが原因でしょうと言われても、私は全く実感できませんでした。休職している中、妻と会話している中で、気づいたことがありました。それは、妻の会話には妻自身の感情が多く含まれており、それを解決するアドバイスをしても、その感情が消えることはなく、場合によっては違う感情へと変化していることに気が付きました。私にとってこれはとても衝撃的なことでした。その日を境に、自分のことを自分が全く理解できていないことを認識し、自分と向き合うことを始めました。
自分と向き合うといっても、湧いてこない感情をどう掴むのか、私には皆目見当もつきませんでした。そんな時、私はBUCで「マインドフルネス」と出会いました。初めて経験する何もしない時間。私は常に多量の思考が頭の中に渦巻いていることに気が付きました。そして、その思考の原因を探ることで初めて、自分の中にある負の感情を見つけることが出来ました。さらに、認知療法の講座にて7コラム法を学び、私の感情は人に比べてまだまだ足りないことを改めて実感致しました。そこでCBT小グループという、少人数で7コラム法をみんなで検討し練習するグループに参加し、他の人がその出来事でどのような感情を持つのか、自分の感情は表現しきれているのかを勉強しました。
また、講座の中で失感情症(失感情言語化症)を学び、過去の自分は本当に感情の解像度が低かったことを改めて感じました。私はすべての負の感情を「めんどくさい」でまとめてしまっていたのです。感情が明確に表現できないために、認識することが出来ず、知らず知らずの内にストレスを抱えていたのでした。
BUCで多くのことを学ぶことで、今の私はそれなりに自分の感情に気づけてきていると思っています。それでも忙しくなると自分の感情が見えなくなってしまうことがあるので、日記をつけることで、感情を言語化して認識するようにしています。もしこれを読んでいる方で、自分はストレスを感じたことがない、負の感情を感じたことがあまりないという方は、一度日記をつけてみることをおすすめします。きっと自分も気づかない感情があることを認識することが出来ると思います。
負の感情が感じ取れるようになった私は、しんどくなることもありますが、復職に向けて頑張れています。感情は自分の強い味方であると私は思いますので、皆さんも自分の感情に気づいて、寄り添ってあげてください。