おうばく通信
おうばく心理室コラム
2020年5月 5日 (火)
【おうばく心理室コラム/2020年5月】「自粛モードで過ごすときの工夫」
新型ウイルス禍は全国的に広がり、各地域で緊急事態宣言等が発令される事態になってしまいました。
不要不急の外出を控えることが、誰かから自分への感染を防ぐだけでなく、自分から誰かへの感染を防ぐためにも、非常に重要な課題となっています。
その一方で、ずっと家に閉じこもっていると、心身の状態が低下してしまいます。家でゴロゴロしてばかりだと全身の筋肉が落ちて、免疫力の低下をきたしたり、高齢者の場合はADL(日常生活動作)の深刻な下落を招いたりする可能性があります。メンタル面もおのずと停滞し、うつ状態に陥るリスクが高くなります。
外出するのもダメ、かといって家に閉じこもってばかりもダメ! だったらどうすりゃいいんだよ!? と言いたくなるのも当然です。私自身も正にそうです。
そこで今回は、いつまで続くかハッキリしない自粛モードの中、自分自身が意識している5つの点をご紹介しながら、どのように過ごすのがいいかについて考えてみたいと思います。お暮しの家族構成などによっても事情は大きく異なるとは思いますが、何か少しでも参考になれば幸いです。
◆とにかく生活にON/OFFを設ける
心身の健康維持に大切なビック3は「食事」「運動」「睡眠」ですが、これらをメリハリつけて規則正しく行うことがとても大切だと考えています。私たち人間はリズムで生活していて、そのリズムによって均衡を保っているからです。
もっとも良くないのは、一日中TVを見たりゲームをしたりしながら、なんとなくスナック菓子をつまみ続けたり、ジュースや缶ビールに手が伸びたり、居眠りをしたりするような過ごし方です。このような日々は運動不足もさることながら、生活からメリハリが奪われていき、次第に「いつーもダル~くて、何をするのもメンドクサ~くて、なんとなーく気持ちも沈みがちでしんどくて……」というボンヤリした不適応状態へと落ち込んでいきます。
したがって(週1日くらいはそういう日があってもいいとは思いますが)、基本的には「起床して、食事を摂って、活動して、寝る」というサイクルを守る必要があります。起床したら立ち上がって顔を洗う、食事を摂るときはテーブルに座る、活動するときは着替えて外に出る、寝るときは消灯して眠りに専念する、という風に心がけています。
◆うまく外出する
先の段落で「着替えて外に出る」と書きました。不要不急の外出は控えるべきじゃないのか!? とのお叱りを受けそうですが、最低限の外出と運動で太陽の日を浴びることは、私たちにとって必要な行動だと個人的には考えています。
ただし、人と接触しない場所をうまく選ぶ必要はあります。マンションのエレベータは使わずに階段で昇り降りしますし、ウォーキングするときも人影がほとんど無い裏道や川べり、ガランとした自然公園などを選びます。ウォーキングなら1時間程度、ジョギングなら30分程度が目安でしょうか。
◆カップ麺やレトルト食品に頼りすぎない
体調を万一崩したときのために、ある程度のカップ麺やレトルト食品も買ってありますが、普段は極力摂らないようにしています。外出を控えている今こそ、時間に余裕があるわけですし、これを機に野菜や魚、肉など買いこんで、じっくりと料理を作るようにしています。ずっと家にいると、「努力や行動の結果が実感できること」(=自己効力感)が減りがちですが、料理はそれが感じられる貴重な機会です。スーパーで買い物をするときは人ごみを避け、その後はしっかり手洗いをします。
◆新型ウイルスの情報ばかりに偏重しない
何気なくTVを付けていると、新型ウイルス関係の情報番組ばかりで、否応なしに病気のことばかり考えてしまいます。もちろん、病気に関する最新情報を得ておくことも大事ですが、四六時中このような情報にばかり曝されているのは健全とは言えません。
近年はアマゾンプライムなど便利なオンデマンドがあるので、こういったサービスを利用して、見逃していた映画を観たり、昔の懐かしい番組を久しぶりに観たりして気分転換を図っています。
◆SNSは控えめにとどめる
人とのつながりは非常に大切です。当然ながら、このご時世で飲み会などを行えるわけではありませんが、ときには旧友にメールや電話で近況を聞いたりもしています。ただ、フェイスブックやツイッターといったSNSにはハマりすぎないよう気をつけています。SNSは反応がすぐに得られるだけに一種の中毒性があったり、ネガティブな反応を受けて落ち込んだりするデメリットも大きいですし、デマなど不適切な情報に巻き込まれるリスクもあるからです。
…思いつくまま書いてしまいましたが、遊びに出かけたり遠出したりできない休日が続くなか、調子を保つためにこういったことを心がけています。
皆さまにおかれましても、ご自身に合った工夫を見いだしていただけましたら幸いです。早い収束を心から願うばかりです。
文責:臨床心理士・名倉