おうばく通信
おうばく心理室コラム
2020年3月 5日 (木)
【おうばく心理室コラム/2020年3月】「今年は木津川マラソンに出場できませんでした」
木津川マラソン大会に参加した記事をアップするのが、2年前から本コラムの冬の恒例になっていましたが(今さらながら公私混同でスミマセン!!)、今年は諸事情あって参加できませんでした。
諸事情というのは、ひとことで言うと「気負ってランニングし過ぎて膝を傷めた」です(笑)。今年の木津川マラソンには数ヶ月前からエントリーしていたものの、そういうワケで泣く泣く棄権したのでした。
我ながら情けない限りなのですが、今回は自分への教訓もかねて、膝を傷めて不出場となるまでのポンコツ話を連ねてみたいと思います。
まず前提として、趣味のひとつとして毎年1回フルマラソンに出ていまして、昨年度の同マラソン大会でサブ3.5(三時間半切り)をなんとか達成できたので、今年はサブ3.15(三時間十五分切り)を目標に秋ごろからコツコツ走っていたという状況があります。
その甲斐もあって12月頃には少しずつ速く走れるようになってきたのですが、そうなると自分の頭の中に悪魔のささやきが浮かぶようになってきました。
「いっそ、サブ3を目指そうよ!」
フルマラソンでサブ3(三時間切り)というのは、一般市民ランナーにとって上級ランナーへの登竜門みたいなもので、当然ながら私にとっても憧れのタイムです。
マラソンのタイムなど興味もないし全く知らないよ、という人のほうが多いと思うので、簡単に説明すると、フルマラソン(42.195km)の場合ざっくり言うと、
サブ5(5時間切り):初級者
サブ4(4時間切り):中級者
サブ3(3時間切り):上級者
サブ2.5(2時間半切り):選手レベル
サブ2(2時間切り):公式記録では前人未到。達成すれば世界ニュース!!
…という感じです。そしてサブ3が手に届きそうになってくると、俄然モチベーションがUPしてしまったのです。
で、ネットや書籍で「サブ3達成のためのトレーニングメニュー」を調べては、それに従って追い込んで走る……という生活を年末から開始しました。大晦日も10km以上走り、元日早々から20km走る……今までの人生で最もストイックな年末年始でした(笑)。
こうしてメニュー通りのハードなトレーニングをこなしていたところ、正月明けから膝の裏に痛みを感じるようになりました。これはちょっと心配だなァと思いつつ、それでも
「ここまで順調に練習を重ねているのだから、いま止めたら努力が水の泡だ!」
「リカバリー・ランという言葉もあるくらいだから、走っていればきっと治る!」
と自分を奮い立たせて、メニュー通りのトレーニングをさらに続けました(本当はちっとも順調ではなく、走れば走るほど悪化していったのですが。笑)。
その結果、どんどん痛みが悪化して軽いジョギングでもつらくなってきて、さすがにマズいと感じてスポーツ障害の鍼灸院で診てもらったところ、「走りすぎによって半月板損傷を起こしている可能性が高い。最低でも一ヶ月はランニング等せず休養すること」と命じられました。
こうして、数日後に控えていた木津川マラソンへの不出場が決定したのです。
実を言うと、膝に痛みを抱えながらも、「鎮痛剤と湿布を使えば走れるのではないか?」という気持ちが最後までよぎり続けました。
しかし、なんとか冷静に優先順位とメリット・デメリットを考え直しました。
・マラソンは自分にとってあくまでも余暇で、本業は心理士である。
・無理してマラソンに出たら、足の故障が大幅に悪化する可能性がある。
・そうなると、本業のカウンセリングなどにも悪影響が出るかもしれない。
・さらに何らかの障害が残って、今までのように走れなくなるかもしれない。
このように考えて出場は思いとどまり、セラピストの言いつけを守って休養に専念しているという次第です。「膝への負担が軽いサイクリングなら多少はOK」と言われているので、週末などは懲りずに自転車で出かけたりはしているのですが(笑)。
そんなわけで、今回の故障から得た教訓について考えてみます。
・自分は毎年のように同じあやまち(練習しすぎて足を傷める)を繰り返しているので、イイカゲン学習して自己コントロールしなさい!!
・それでも本業と余暇の優先順位を冷静に考えられたのはまだヨカッタ。
・余暇についてもマラソン1本だけでなく、サイクリングなどそれ以外の趣味があってヨカッタ。
最後の教訓については、今回とくに痛感しました。
人生、何かひとつの目標に向かって打ち込むことも大切だと思いますが、ひとつの目標しか持っていないと、それが失われたときのダメージが多大になってしまいます。それよりも、いくつかの目標や楽しみを「複眼」的に持っているほうが、アクシデントに見舞われても柔軟に対応できるような気がします。
今回も、一ヶ月以上走れない日々が続き、いつ回復するかの見通しも分かりません。ここのような状況は、目標や楽しみがランニングしか無いと生きがいの喪失につながりそうですが、幸いなことに、身体を動かす系ではサイクリングも好きで、それ以外では先月のコラムに書いたように料理を作るのも好きなので、走れない休日に時間を持て余すようななことは無く過ごせています。
もともとは健康のために始めたジョギングが、気がつけばタイム達成が目的にすり替わって、無理なトレーニングのあげく怪我して健康を損ねてしまう。「ランナーあるある」の典型例ですが、今のこの痛みを神様からのお叱りと思って、忘れないようにしていく所存です。
皆さまも私のようなことにならないよう十分お気をつけて(過ぎたるは及ばざるがごとし!!)、健康のための運動習慣を心がけていただけましたら幸いです。
追伸:わが心の師である山中伸弥先生は、今シーズンの京都マラソンで、3時間22分と自己ベストを更新されました。またタイム差が広がった形ですが、こうやって着実にタイムを縮められている山中先生と、片や無理な一足飛びを目指して故障→棄権という自分の姿とを比べると、つくづく情けなく忸怩たる気持ちを禁じ得ません(笑)。
文責:臨床心理士・名倉