おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2019年4月 1日 (月)
月刊きょうと/「海の癒し」(2019年4月)
今回はメンバーの果樹園さん(女性)に、スキューバダイビングと海の魅力について書いていただきました。
私は旅行に行くのが好きです。特に好きなのは南の島に行って海に潜ることです。私は若い頃スキューバ―ダイビングのライセンスを沖縄で取りました。そしてインド洋に浮かぶ島モルジブでさらに上のアドバンスコースのライセンスを取りました。
ライセンスをとるためには、まずはマスククリアといって水中眼鏡が海中ではずれても、もう一度付け直してメガネの中の水を、鼻から出した空気で抜ききるテクニックを習得します。水圧で痛くなる耳から空気を抜く耳抜き、他にも水中で背負っているタンクが外れたときに付け直す方法や、タンクの空気が無くなった時にバディ(潜るときは必ずだれか相棒と潜ります)のエアを、交互に吸いながら浮上するテクニックなどを学びます。
アドバンスコースでは水中で方位磁石を使って、自分のフィンキックで何メートル進んでいるかを理解しながら予定どおりのコース取りで上手く進めるか、とか、自分の肺の中の空気の量を意識しながら海中の同じ位置で浮いていられるか、水深30メートルまで安全に潜って浮上できるか、また漆黒の夜の海に懐中電灯片手に潜るなども学びました。夜の海では魚たちは横になって寝るんだというのをはじめて知りました。ブダイ(鯛の仲間)にいたっては天蓋ベッドのような薄い膜を上手く岩の穴のところに貼って中で横になって寝てました。かわいかったです。
今思えばよくそんなことに挑戦できたなと思います。しかし若かった私は、海の中の美しさに魅了され、ライセンスをとることに挑戦しました。海の中は別世界です。別世界でありながら、胎児のころのことを思い出すのか、とても懐かしく穏やかで優しい気持ちに包まれます。サンゴは美しく、お魚たちも逃げたりせず、むしろ「遊ぼうよ!」と寄ってきます。食べる人間と、食べられる魚の関係ではなく、同じ地球上のいち生き物同士という感覚になるのです。同じ命の重さだなと感じます。「海の世界にお邪魔させてもらってます。受け入れてくれてありがとうね」という気持ちになるのです。そこには不安も憎しみも悲しみもない、ただ一生懸命そのときを生きている生き物たちの姿があります。そして、人間である私も、彼らと同じなのだと気づかされます。
なんとなく海の仲間たちは知り合いのような気がして、だから、辺野古に基地を作るというニュースはいろんな事情があるのだろうけど、自然が破壊されていくことに、心から悲しい気持ちになります。沖縄のサンゴが温暖化で死んでいっている事も、人間の愚かさに本当に悲しくなります。
自然とともに心健やかに生きる道を人間が模索できれば良いなあと思います。私は自分の存在は出会ったもの、人、すべてで出来ていると思っています。自然もその一つです。そしてメンバーの皆様も!皆さんの心の中にも美しい自然が広がり、穏やかな日々を過ごされることを願っております。