おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2019年2月 1日 (金)
月刊きょうと/「銭湯の力♨」(2019年2月)
今回はメンバーのはやぶささん(男性)に、銭湯の魅力について書いていただきました。
みなさん、最近、銭湯に行かれたことはありますか? 私は、スーパー銭湯ではなく、昔ながらの銭湯に行くのが大好きです。
近年、入浴客の減少や経営者の高齢化の為に、銭湯の廃業が続いていて、戦後、京都市内に600件ほどあったものが、今では、100軒あまりに減ってしまいました。
しかし、京都市内には、歴史を感じる、ノスタルジックな銭湯(レトロ銭湯と呼ばれています)がまだまだたくさんあります。
風情のある外観、番台、天井が木で格子に組まれている脱衣場、でんと鎮座する招き猫etc、スーパー銭湯にはない情緒ある雰囲気、わざわざ遠くの温泉に行かなくてもいい手軽さがレトロ銭湯にはあります。
そして、個人的に気に入っている銭湯の魅力は、「深い湯舟」です。
スーパー銭湯では、お子さんの安全確保もあって、立って入るような深い湯舟はあまり見かけません。しかし、深い湯舟の方がより浮力を感じる事ができます。
温かいお湯と浮力、そして、近所のお年寄りが井戸端会議に花を咲かせているのんびりした風景を見ていると、何事にもかえがたい、格別な「ほっこり」を味わうことができます。
最後に京都市内でオススメの銭湯3選をご紹介したいと思います。みなさんもお気に入りの銭湯を見つけて、「430円で味わえる極楽」に行ってみませんか?
・船岡温泉(京都市北区)
名前は「温泉」ですが、れっきとした銭湯です。料理旅館「船岡楼」の付属施設だったというこちらは、戦後、昭和22年に銭湯として営業を開始。美しいカーブを描いた屋根が特徴的な建築物として、国の登録有形文化財にも指定されています。天狗と源義経を描いた天井の木彫り、凹凸と華やかな彩色が美しいタイルなど、脱衣所だけでも見所いっぱい。日本で初めて電気風呂をつけたのもこの船岡温泉といわれ、脱衣所から湯船の間には橋がかかっていて、露天風呂もあり、趣豊か。京都を代表するレトロ銭湯です。
・梅湯(京都市下京区)
浴室の大きな噴水や脱衣所の招き猫、近隣の作家が作った雑貨が並ぶ温故知新な雰囲気こそが魅力的な梅湯は明治時代創業だそうです。こちらの廃業を聞きつけ、引き継いだ現在の店主は学生時代に自ら銭湯巡りの同好会を立ち上げ、京都府内の銭湯をすべて訪れたという強者。お風呂もさることながら、2階にある古民家そのままの休憩所ものんびりできるスポット。そして、その2階には、まさかの刺青屋さんがあります(驚)これも店主のポリシーによるもの。ライブや落語など、月1回のイベントも必見!
・日の出湯(京都市南区)
私のホーム銭湯です。
京都駅から東寺への向かう途中の細い路地を抜けると見えてくる昭和24年創業の日の出湯。季節によって変えられる色とりどりの暖簾をくぐると、高い格天井が印象的な脱衣場が広がっています。開放感満開の脱衣所には、大きなのっぽの古時計があり、船岡温泉同様、いたるところに昭和感がひろがっています。