おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2018年3月 1日 (木)
月刊きょうと/「私の中の病気君」(2018年3月)
今回はBUCのホワイトホースさん(男性)に、病との付き合いかたについて書いていただきました。
彼は突然、嵐のようにやってきて襲いかかり、私の人生をメチャメチャにした。最初は大学生時代。楽しいはずの青春が彼のおかげでどんよりと曇ってしまった。二度目は40代の働き盛りのとき。普通ならバリバリ仕事しているところであるが、もんもんとして暗い気分で、低空飛行状態でようやく仕事をすることになった。
しかしながら、彼には二面性がある。陽気なときの彼のお陰で大胆になることができて、色々な場所に行くことができ、様々な経験をすることができた。仕事で海外出張することはたまにあったが、プライベートで海外旅行をしたことが全くなかった。彼がそんな私を連れて行ってくれた国は、ベトナム、香港、マカオ、シンガポール、米国と様々である。言い方を変えると、彼にかなりの散財をさせられた(^^);
そんな彼との旅行で最も思い出に残っているのは、最初に連れて行ってもらったベトナムである。当時、年末年始の休暇にプライベートで最初の海外旅行と考えており、行き先をシンガポール、グアム、香港のどれかで迷っていた。そんなとき、SNSから誕生日のお知らせが届き、ベトナムに友達がいることを思い出した。彼女とは20年以上も前に日本で知り合った。彼女は日本を旅行中、私は実家からの帰り道、偶然に新幹線で隣り同士になり、Eメールで文通するようになった(私が英語にアレルギーがないのは彼女との文通のお陰である)。その後、再会することなく、彼女からはSNSで結婚、出産、お子さんの成長・進学など連絡があった。
彼女に年末にベトナムに行く予定であるとEメールすると、空港まで迎えに来てくれるとのことであった。
ホーチミン国際空港に着いて出口から出ると、すごく沢山のベトナム人が待っていて圧倒された。彼女は少し遅れたが、私の顔を覚えてくれていて、私も彼女と直ぐに分かり、20年以上ぶりの再会をした。彼女は、ベトナム女性では珍しくハイブランドの服に身をつつみ、自分用の車を所有していた(ベトナムではオートバイが一般的である)。聞けば、会社を経営し、私立学校の理事をしており、社会的に成功しているようであった。
最初の日だけ観光に付き合ってもらい、彼女の車でホテルに送ってもらい、お土産を買うため、お店に案内してもらった。晩にはオススメのレストランに連れってもらい、タイ料理をごちそうになった。とくにグリーンカレーの付け合せでオーダーしたもち米のタイ米は初めてで、とても美味しかった。食事中の会話で、どうして結婚しないのと聞かれて、その理由を説明すると、「It’s not your fault but your destiny! (それはあなたの過ちでなくて宿命)」と言われて、すごく癒やされた記憶がある。
そんな彼とは一生別れることができないようである。残念ながら、一生付き合う必要がある。残りの人生で再度彼が大暴れしないように上手に彼を乗りこなさないといけない。ストレスや生活リズムの乱れは彼の好物なのでとくに注意したい。