おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2017年3月 1日 (水)
月刊きょうと/「マインドフルネスとの出会い」(2017年3月)
今回はR.Nさんに、マインドフルネスとの出会いについて書いていただきました。
私は、バックアップセンターきょうと(以下、BUC)に通所し始めたとき、体力が著しく低下し、対人関係に抵抗感を覚えていたため、BUCで半日過ごすことに対しても、とてもストレスを感じていました。
しかし、BUCの各種プログラム(リラクゼーション、コミュニケーション講座、ストレスマネジメント講座など)へ参加したり、スタッフさんのサポートのおかげで、徐々に心身ともに回復することができ、少しずつ自分を取り戻して、自分特有の思考や心の傾向などにも気づくことができました。そのBUCのプログラムの中で個人的に斬新だと感じたのが、「マインドフルネス瞑想」と呼ばれる精神療法のトレーニングでした。BUCでは週に一度、10分程度の時間をとり、スタッフさんのガイドに従い、瞑想を実践していましたが、当初私は、自分がそれをうまくできているのか、うまくできていないのかよく分かりませんでした。そのためマインドフルネスについてもっと詳しく知りたいと考えるようになりました。
そこで私はBUCの「自分でできるマインドフルネス」という蔵書を読むことにしました。そこで初めてマインドフルネス瞑想が、20世紀の西洋において、仏教の瞑想を元に、宗教的な部分を一切排除して、精神健康面に与える効用に着目して開発された、ということを知りました。本書には、マインドフルネス瞑想の効用として、抑うつ症状の緩和や、記憶力や反応速度の改善、また、精神的スタミナや他人に対するおもいやりの気持ちの向上が挙げられていました。さらに、慢性疼痛などの症状緩和や高血圧の改善、その他にも免疫機能の向上などの身体的な効用があることも記されていました。あまりにも万能であるかのように書かれていたので、私は半信半疑だったのですが、興味深いことにこれらの効用は、マインドフルネス瞑想が、脳に物理的な変化をもたらした結果であるということを実証した研究が、すでに行われていることも紹介されていました。私はしだいに、このマインドフルネス瞑想に興味を持ち始めました。本書の中から私が、自分もやってみよう、と思えた一節をご紹介します。
マインドフルネスは 問題を解決したいという 脳の願いそのものを無くすものではない。 単に、それを解決するために最適の選択をするための、 時間と空間を与えてくれるにすぎない。
私はこの文言から、マインドフルネスが、「あらゆる病気や悩みを消し去る魔法の杖ではなく、自分自身を取り巻く状況を現実的に把握し、落ち着いて、最適な解決策を見出すことをサポートしてくれるものだ」と解釈しました。そして、著者は本の中で繰り返しこう述べていました。「とにかく実践することが重要である」と。私は、「とにかく自分でやってみないことにはわからない」と考え、ついにマインフルネス瞑想を個人的にやってみようと思い、瞑想のガイダンスの音声データをiPhoneに入れて持ち歩くようになりました。実際始めてみると、「自分の本質的な性格や考え方の傾向は、簡単に変わらないが、自分が今どういう心理的または身体的状況にあるのかに、早い段階で気づくことができるようになった」ように思います。そして、自分の気持ちに気づいたら、できるだけそれを受け入れてあげるようにしています。また時間の確保が非常に高いハードルになることも実感しました。将来的に職場復帰した際には時間の確保が難しいとは思いますが、今後も継続してみたいと思っています。