おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2014年6月 1日 (日)
月刊きょうと/「本のすすめ」(2014年6月)
今回は利用者の玄武さん(女性)に、読書のすすめについて書いていただきました。
皆さんは、本を読みますか?
「今は、電子本だよ」と言う人もおられると思いますが、新聞とは違った本の匂いがいい感じだと思いませんか?人から借りた本にはその人のお家の匂いがするので、クンクンと嗅いだりしているかなり変癖の持ち主です。
私は「本が好きで好きでたまらない」「本がないと生きていけない」くらいの活字中毒ではないのですが、時に当たりの本に出合うことがあります。何気に手にとった本が当たりだと、めちゃめちゃ嬉しいですよね。表紙だけで選んでしまって、ハズレのこともあるんですけど。で、私が今まで読んだ本の中で「当たりだ」と思った本をいくつか紹介したいと思います。
一つ目は『ペコロスの母に会いに行く』です。岡野雄一さんが書いた本で、映画を観た方もいるのではないでしょうか。認知症の母親との関わりを4コマ漫画で描いているのですが、笑いあり涙あり、母親にしか見えない世界も表現していて、とても心が和みますよ。
二つ目は『イソップ株式会社』で、ひょっこりひょうたん島でおなじみの、井上ひさしさんが書いたものです。おばあさんの家で夏休みを過ごしている中学生の姉と小学生の弟のもとに、父親から毎日手紙が届きます。一日一話のお話を家族に語るという、亡くなった妻との結婚前からの約束・・・。物語を通して生まれる家族の姿を描いています。
三つめは、トーマス・M・ディッシュ(浅倉久志訳)の心温まるSFメルヘン『いさましいちびのトースター』です。森の小さな夏別荘で、主人に置き去りにされた電気器具たち、トースター、電気毛布、掃除機などが集結し、ご主人様探しの旅に出ます。薄い本なので、読みやすいと思います。
四つ目は坂本司さんが書いた『和菓子のアン』。デパ地下にある和菓子屋を舞台にしたお話で、表紙の和菓子がとても美味しそうなのです。高校を卒業した女の子が主人公なのですが、食べることが大好きなためポッチャリさん。和菓子の?が分かる本になっていますので、よければ和菓子を食べながら「フムフム、なるほど」と言いながら読んでほしい。五つ目は、田辺聖子の『楽老抄 ゆめのしずく』です。60代の方からいただいた本なのですが、老いを楽しむ、おとなの時間をはんなりと生きる、といったエッセイ集になっています。「しっくりくるよね」という感じにはまだ至ってないので、これから再読していきたい本の一つです。
最後に百田尚樹さんが書いた『永遠の0』をオススメします。戦記ものが好きなので、本の前を行っては戻り、手にとっては棚に戻ししつつ、迷いに迷って「映画を観る前に必ず読むぞ」と意気込んで購入した本です。できれば活字と映像で手にとっていただきたい一冊です。
まだまだオススメしたい本はあるのですが、実は内容を覚えていないのが現実でして…。
お家の片隅に眠っている本があるのなら、久しぶりにパラパラとページをめくってみては、いかがでしょうか。もしかしたら、もしかするかもですよ。