おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2013年12月 1日 (日)
月刊きょうと/「下手くそでもいいじゃないか」(2013年12月)
今回は利用者のR・Sさん(男性)に、「バックアップセンター・きょうと」への通所を通じての自己成長について書いていただきました。
「もうすぐBUCを卒業し、復職する」
そんな時期を迎える日が迫ってきました。私は2011年の8月、医師から双極性障害と診断され、1年間自宅療養をしていました。自宅療養中、家の物を見境なく壊したり、家族に八つ当たり、毎日10キロほど走りに行ったりなど様々な躁状態が続き、苦しく辛い日々でした。
休職から1年が経過し、職場からの紹介でこのBUCに通所することになりました。自宅からは遠く、通所する交通手段が車、バス、電車、徒歩と仕事をしていた頃の通勤手段と比較して大変ハードなものでしたのでかなり苦しかったです。最初の頃は、睡魔が襲い午前のデスクワークではソファーで居眠りしたり、コーヒーを何杯も飲み、貧乏ゆすりをしながら過ごしていました。午後からのヨガやスポーツやっていてるとき、「自分は仕事もせず、一体何をやっているんだろう」「こんなことをやっていて本当に復職なんてできるのか」と自問自答していました。それでも、「早くここを出て復職してやる」という気持ちで何とか通所はしていました。
それから数ヶ月が経ち、ようやく午前のデスクワークにも慣れていきました。スタッフやメンバーともどんどん打ち解けられるようになり、次第に「今は焦らなくていい」「センターに通所していることに意味があるんだ」と前向きに考えるようになっていきました。
半年が経ったころ、スタッフからお花見の実行委員に選ばれました。そして私はリーダーになりたいと立候補しました。なぜ立候補したかというと、私はこれまで集団で何かをする際、いつも誰かを頼りがちで、内容をすべて理解しない悪いクセがありました。仕事をしていた頃もそうした悪いクセで、人から嫌われたり、仕事を任せてもらえませんでした。休職中、自分を見つめ直した結果、この悪いクセを克服しなければ、復職しても同じだと思ったのです。
だから、リーダーというすべての内容を把握し、実行していく役割を選択しました。そして、本番当日、下手くそながらも無事にお花見を終わらせることができました。私はこれを機に一つの自信を持つことができました。そして、「下手くそでもいいから、とにかく積極的に動くこと」ということを学びました。
そして、数ヶ月後、OB交流会の実行委員にも選ばれました。このOB交流会の実行委員は、BUCのプログラムの中でも1、2位を争うハードなものと経験したメンバーから聞いてはいましたが、デスクワークもろくにできない自分にとっては難しく困難な壁でした。実行委員同士で計画を立てていても、話についていけないことも多々あり、「休みたい」や「抜け出したい」という気持ちに何度も頭の中を過りました。しかし、お花見の時と同様、「下手くそでもいいじゃないか」という気持ちで、このOB交流会もなんとか乗り切りました。
数ヶ月後、ついにプログラムの集大成であるメンバープログラムをすることになりました。この時期には、心にも余裕があり、集中して準備することができました。そして、無事に終了させることができたのです。
以上のように私は、BUCに来て大きく成長したと思います。この経験を力にして復職しても「下手くそでもいいじゃないか」という精神で仕事に対して常に積極的な姿勢で頑張りたいと思います。