おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2013年10月 1日 (火)
月刊きょうと/「東京オリンピック」(2013年10月)
今回は利用者のM・Yさん(男性)に、オリンピックの魅力について書いていただきました。
2020年夏、オリンピックが東京で開催されることが決まりました。2度目の開催です。
私は、1964年の東京オリンピックは映像でしか知りません。
オリンピックは、日本が急速な復活を遂げ、再び国際社会の中心に復活するシンボルとしての意味を持ち、経済協力開発機構(OECD)への加盟も認められました。
また、競技施設、日本国内の交通網の設備に多額の設備投資が行われ、競技や施設を見る旅行需要も喚起されました。
そして、カラー放送を見るためにテレビの購入も増加し、名神高速道路や東海道新幹線が開通したように、日本経済に「オリンピック景気」と言われる好景気をもたらしました。
しかし、私は、2020年の東京オリンピックの招致活動を冷ややかな目で見ていました。名古屋、大阪、2016年の東京が立候補しましたが落選。巨額の税金が無駄に使われました。
そして、2020年に再び東京が立候補すると聞いたとき、今の日本はオリンピックを開催すること以外に、取り組まなければならない課題がたくさんあるように思えました。
しかし、2020年オリンピック開催地が決まる日、眠い目をこすりながらテレビを見ている自分がいました。
決選投票も結果、東京に決定した瞬間、「やった」という気持ちの自分がいました。涙を流して喜ぶ関係者たちを見て、自分が今忘れかけているものを、思い呼び起こしてもらったように感じます。
すぐには実行できませんが、何かが芽ばえたようにも感じました。
パラリンピックの選手の佐藤真海さんのプレゼンに感動しました。
彼女は、
「私は、スポーツによって救われたからです。19歳のとき、足首に痛みを感じ、たった数週間のうちに骨肉腫により足を失ってしまいました。絶望の淵に沈みました。でも、私は目標を決め、それを越えることに喜びを感じ、新しい自信が生まれました。そして何より、私にとって大切なのは、私が持っているものであって、私が失ったものではないということを学びました」
と言っています。
佐藤さんの故郷の町も震災による津波に襲われました。佐藤さんは、他のアスリートの人たちと、一緒になってスポーツ活動を準備して、自信を取り戻すお手伝いをしたそうです。
「スポーツの真の力を目の当たりにしたのです。新たな夢と笑顔を育む力。希望をもたらす力。そして、日本が目の当たりにしたのは、これらの貴重な価値、卓越、友情、尊敬が、言葉以上の大きな力をもつということです」
と言っています。
プレゼンの内容だけではなく、表情、身振り、手振り、口調どれをとっても、今までの日本人とは違ったものでした。
日本人はプレゼンが苦手というイメージがあったと聞いています。それを見事なまでに裏切り、日本人もやれば出来るんだというお手本を見たような気がしました。
最後は、人が身体全体で表現して心へ訴えることが、人の心を動かすことにつながることを知りました。
2020年まであと7年。
課題の多い日本。この招致活動をお手本にして、国が一丸となり課題克服に取り組んでほしいものです。