おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2013年7月 1日 (月)
月刊きょうと/「子供と接して感じたこと」(2013年7月)
今回は利用者の変人ガリレオさん(男性)に、子どもと接していて感じたことについて書いていただきました。
「いつやるか?今でしょ!」
このフレーズを聞かれたことのある方は多いと思います。某有名大学受験予備校の現代文講師である林修氏の言葉です。最近注目が集まっており、テレビにもよく出られるようになりました。林氏の顔の表情(いわゆるドヤ顔)やポーズなどが気に障るという方もいらっしゃるとは思いますが、それはそれとして、この言葉を聞いて私が感じたことをお話しします。
さて、みなさんに質問ですが、「今」を生きてらっしゃいますか?
このように聞かれると、「当たり前だよ!」とおっしゃる方が多いでしょう。しかし無意識のうちに、「過去」の失敗を思い出して嫌な気分になる、「未来」の未知の状況を心配して不安になるということはないでしょうか?「人間なら誰しもそんなことはあるだろう?」と考えられるのは当然だと私も思います。
一方、子供は違うなぁということも感じました。どう違うのかというと、子供は「今」を生きているということです。なぜなら、少なくとも私の知る限りでは、子供が「明日~英語教室があるのは嫌だなぁ」と未来のことを悩んでいる姿を見たり、「昨日の製作で~しておけばよかったなぁ」と過去のことを悔やんでいる姿を見たことがないからです。そういう意味で、子供は「今」を生きていると思うのです。このことに関連する話で、最近気づいたことがあったので、紹介させて頂きます。
私には、今年保育園年長組の子供がおります。妻がフルタイムで働いている関係で、子供の保育園の送迎は私がやっています。自宅から徒歩圏内に保育園があるので、雨の日などは除いて、移動手段は徒歩です。歩いている時に、私もしくは子供から何気ない会話をすることがあります。例えば私からは、朝ですと「今日は何をするの?」「今日は公園に行くの?」と聞いたりします。一方、夕方ですと「今日は何をしたの?」と私が聞きます。一方子供は、「今日は公園に行って~、ブランコ乗って~、滑り台すべって~」といった脈略のない話をします。また、何も話をせず黙々と歩くだけの時もあります。
そんなある日の朝、いつもの通り「今日は何をするの?」と子供に聞いたところ、「わかんない」とそっけない答えが返ってきました。最初は「せっかく話しかけてるのにわかんないって…」というイライラとした感情がわいてきました。しかし、ふとその時思いました。「子供は、『今この瞬間』を生きているから、これからのことはわからないと言うのだろうか?」と。子供は何の悪気もなく「わかんない」と答えたのでしょう。これから保育園で起こるであろうことを考えず、「今は保育園に向かって歩いて」いただけなので、「わからなく」ても不思議ではないのかなと考えました。
このような話をすると、「発達途中にある子供であり、大人に比べて情報量や知識量等が大きく異なるので、そんなに単純な話ではない!」というご意見もあるでしょう。しかし、子供の「今」を生きる姿勢から大人が「学ぶ」ことはあると私は考えています。
私自身これから復職そして継続就労へと向かおうとしている状態ですが、「今」を大切に生きていきたいと思います。
最後になりますが、林氏の言葉を借りて終わりにさせて頂きます。「いつ病気から抜け出すの?今でしょ!」