おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2013年5月 1日 (水)
月刊きょうと/「私と読書」(2013年5月)
今回は利用者のK坊さん(男性)に、読書の魅力について書いていただきました。
私の趣味はいろいろありますが、一番に挙げるとしたらやはり読書です。
小学校一年の時に、両親が三つ上の兄のために買ってくれた「世界児童名作文学集」を兄が全く読まなかったため代わりに私が読む羽目になってしまい、結局全50巻を4年余りかけて読破した(毎月一冊刊行だったので)のがきっかけだと思います。
また、当時は母親が高校の歴史の教師をしていたのですが、小学校の高学年にもなると、小遣い稼ぎに高校の定期テストの採点を手伝っていたせいか、今でも好きなジャンルは専ら歴史やノンフィクション関連のものが多く、特に第二次世界大戦関連のものは、当時の子どもたちの趣味といえばプラモデルが圧倒的に多かったころなので(タミヤの1/35スケールの戦車やハセガワの1/48スケールの飛行機を毎月作っていました)、資料収集も兼ねて関連本を読んでいるうちに、すっかり軍事オタクになってしまいました。
今でも月に4~5冊の本を読んでいますが、困るのは本の置き場所ですね。
最近でこそ電子書籍という便利なツールができて結構利用していますが、紙媒体のものは何といっても場所を取る→そこで本棚を買う→また本を買う→さらに本棚を買うという悪循環で、狭いマンションの部屋中本だらけです。
もちろん今までに1,000冊以上の本は処分しましたが、まだ家には1,000冊以上の本が転がっています。最近、実家に行って久しぶりに自分の部屋に行ったらそちらにも2~300冊ありました。
「収納大好き」「読書興味なし」のパートナーからは毎回のように「処分しろ!」「買うな!」の攻撃を受けていますが、ここまでくると活字中毒というか一種の依存症のようなもので、表面では平身低頭を装いながらも毎月「アマ△△」さんからは、¥5,000以上の請求書が届いています。
それだけ本があると、以前読んだものを二度買いしたり、時代のブームで買ったものの、いつの間にかカバーをしたまま本棚の隅で忘れ去られて、結局一度も読まずに叩き売ったものも相当あり、おそらく私の人生での家以外の投資は、二番目には本代がくるのではないかと思うくらいです。
でも、そのおかげで実生活では体験できないバーチャルな世界を体験し、特定の分野にだけは役には立たないけれども妙な知識をつけることができました。
時には司馬遼太郎が描く戦国時代や幕末・維新の時代に思いを馳せ、また半藤和利の描く戦前の昭和にタイムスリップしたり、はたまた浅田次郎の義理人情の世界に涙したり、投資に見合った回収はできているのかなと勝手に解釈しています。
最近、気になるのは河原町界隈の本屋さんの激減ぶりです。
私が青春時代を送った昭和50~60年代の河原町にはおそらく10軒以上の本屋さんがあって、それぞれ個性豊かなラインナップを揃えていたので街へでかけると半日は時間が潰せたのですが、今の河原町はカラオケ店とパチンコ屋の街になってしまい、よほどの用事のあるときにしか行かなくなりました。
街から本屋さんや個性のある喫茶店、映画館等がなくなるのは時代の流れでやむを得ないことかもしれませんが、学生も多くかつ世界に誇る文化観光都市・京都にとっては寂しいことですね。
~私が人生を知ったのは、人と接したからではなく、本と接したからである(アナトール・フランス)。~皆さんも課題図書だけでなくいろいろな本を読んでくださいね。