おうばく通信
おうばく心理室コラム
2012年11月 5日 (月)
【おうばく心理室コラム/2012年11月】カウンセリングの種類あれこれ
当カウンセリングセンターのプロフィール欄もそうなのですが、聞きなれない専門用語が使われていて意味がよく分からない、という声をお聞きすることがあります。自律訓練法にイメージ法、認知行動療法、解決志向アプローチなどなど…。
これらはいずれも数多くあるカウンセリング技法の中のひとつです。今回はその中のいくつかについて、簡単にご紹介してみたいと思います。
カウンセリングと一口に言ってもさまざまな種類や技法があります。
どのようなカウンセリングであっても、受容的・共感的に傾聴する、悩んでいることを安心してお話いただける雰囲気を作るといった、「基礎技法」と呼ばれる部分は共通しています。ただ、その上に積み重ねていく「具体的技法」については種々のものがありますし、用いられる技法もカウンセラーによってさまざまであるのが実情です。
「自律訓練法」はリラクセーション技法のひとつで、緊張状態にある筋肉を一定の手順にしたがって弛めていくことによって全身をリラックス状態へと導きます。リラクセーションはストレスの解消や心身症の軽減のためにそれ単独で用いられることもありますし、パニック症状や恐怖症を克服するために行動療法などと組み合わせて用いられることもあります。リラクセーション法には他にも、漸進的弛緩法、簡易弛緩訓練などがあります。
「イメージ法」は、特定の想像や心的イメージを頭のなかで繰り返すことによって、不安や緊張を軽くしたり、スポーツなどのパフォーマンスを向上させたりするものです。身体医学の分野においても導入されており、免疫細胞の働きを活発にさせたり、がん細胞を縮小させたりする試みもなされています。
認知行動療法は、個々人の「考え方のクセ」に焦点を当てることによって、うつ病やパニック障害などの症状を軽減させていく手法です。よくある例え話で、コップに半分入っているジュースを見ても、「まだ半分もある」と思うか「もう半分しかない」と思うかで感じる気持ちが変わってくるというのがありますが、認知行動療法の考え方も根底はこれと似ています。同じストレスに対してもそれをどう捉えるかによってストレスのショック度は変わってくる、だったらより適応的な捉え方ができるよう練習していきましょう、というわけです。
最近では一般向きの入門書も数多く出版されていますので、ご自分で取り組んでいただくこともできますが、考え方のクセをうまく変えていただくには経験的にいろんなコツがあり、また、場合によっては「考え方のクセ」のさらに奥深くにある「信念」の部分にまで踏み込んで振り返る必要もありますので、自分でやってみたけれどうまくいかないという場合には、カウンセリングのご利用も検討いただければと思います。
「解決志向アプローチ」は、個々人の問題点や短所ではなく、長所に焦点を当てることでそれまでの悪循環を断ち切っていく手法です。問題が生じていないのはどのようなときなのか? それは何がよかったのか? 今よりも少しだけ状況がよくなったら何がどう変化すると思うか? 等々について、ウェルフォームド・ゴール(十分に練られた現実的な目標)を念頭におきながら考察していきます。
従来の医学モデルでは、問題が生じるとどうしても「犯人探し」に陥ってしまいがちですが、「原因-結果」という因果論にとらわれないほうがいい場合も多くあります。たとえば風邪をひいたときなんかでも、なぜ風邪をひいてしまったんだろう……と延々と考え続けたところで、結局のところハッキリ分かりませんし、風邪がよくなるわけでもありません。それよりは、いままで風邪をひいたときにどうすれば早くよくなったのかを考えるほうがずっといいのではないでしょうか? あるいは、「道に迷ったんですけど○○にはどう行けばいいんでしょうか?」と訊いてきた人に対して、「どうして迷ったんですか!? まずはそれをハッキリさせてからです!!」なんて言うのはなんとも酷な話で、普通なら素直に「○○への行き方」を一緒に考えてあげるのではないでしょうか?
このあたりが解決志向アプローチのエスプリで、同様の手法をとるものに短期療法(ブリーフセラピー)や家族療法があります。
カウンセラーによって得手不得手はありますが、もしご希望の手法などありましたら、ご予約の窓口担当者際もしくは担当カウンセラーまでお申し出ください。
文責:臨床心理士・名倉