おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2012年7月 1日 (日)
月刊きょうと/「波乗りとの出逢い」(2012年7月)
今回は利用者のもっちさん(男性)に、サーフィンの魅力について書いていただきました。
「このまま巻頭エッセイを書くことなく卒業だろうなぁ(ニヤニヤ)」と油断していたら、横にちょこんと座られた名倉さんにご指名を頂きました(汗)。
AKB48、美味しいもの見つけ、嵐、ワイン、EXILE、野球、柔道、山登り、トランペット、電子楽器の自作、クワガタ、燻製の作り方etc…これらはBUCで仲良くなった方々の趣味です。「趣味なんて今の自分には無理」だと思う方もいるでしょうが、そう言わずに私の小話にお付き合い下さい。
私はサーフィンを趣味にしています。ただ、数えるほどしか行けていないので、それを趣味と呼べるのか? というお声が聞こえてきそうですが、そこはご容赦を。
私がサーフィンを始めたのは発病する少し前なんです。実は(笑)。病んでいる私を気づかってくれていた上司に誘われたのがきっかけでした。
サーフィンに対して良いイメージを持っていなかったので「怖い人たちばっかりだろうし、あまり行きたくない」というのが本音でした。でも、上司の誘いを無下に断ることはできないし、1回だけ行くことにしました。
とりあえず、水着などを買い揃え、当日は朝から新幹線で行ったのを覚えています。
目的地は愛知県の伊良湖岬。知らない駅に着くと、上司とその友達が駅まで迎えにきてくれいました。そのままサーフショップに連れて行ってもらい、そこで、サーフィンを教えてくれるプロサーファーを紹介してもらいました。
怖いお兄さんが出てくるのかと思いきや、気さくで優しそうな40代の女性でした。それでも、初対面の人とマンツーマンでのレクチャーは緊張するもので、とにかく「上司に恥をかかせてはいけない」と必死にやりました。この時点で突っ込みどころ満載なのですが。
で、スクールの終わりかけには、何度かボードから立つことができ、波に乗ることができていました。そして、いつのまにか「おもしろい! こんな楽しいスポーツがあったなんて」とか思っていました。相変わらず影響されやすい私です。
その後、ちゃっかり、マイボードを買っていました(別に買い物や浪費が増えたわけじゃないですよ)。
そして、夕方、奇跡らしきものが起きます。なんと、マイボードでロングライディング(長い時間、ボードに立って、波に乗ること)できたのです。その時の浮遊感と波音、夕焼けの景色は今でも覚えています。
それ以来、サーフィンが趣味になり、同じ快感を味わいたくて足しげく海に通っています。あの感動を忘れることは絶対、無いだろうなと思います。復職してからも生涯スポーツにしていきたいとさえ思っています。
サーフィンを趣味にできたのは、上司とサーフィンを教えてくれたプロ、友達のおかげです。それ以上に、ここでエッセイを書けるようになったのは、主治医とスタッフ、メンバーさんの助けがあったからです。そう思うと、人の縁って大事だなと思います。
もちろん、いつもプラスのことが起こるわけではないと思います。人とつながった結果、病気になった人が多くいるのは知っています。私もそうです。それでも、BUCに通い、色々な人と話すうちに人の中の可能性にかけることの重要性に気付くことができました。
人とつながることで、他の人の考え方や価値観、ものを見る角度、趣味を知ることができ、それが次の伏線になっていく。良い縁も悪い縁もあると思いますが、努力していれば、良い縁を招き入れることができるのではないでしょうか。
そのきっかけが趣味であるかもしれません。皆様に良いご縁がありますように。