おうばく通信
ワークネット通信
2012年6月 1日 (金)
就労を続けるにあたって
「ワークネットきょうと」から、この2年間で10名を超える方が就職されています。
長い方ですと、1年半を超えて就職を続けておられます。もちろん、「ワークネットきょうと」からも継続してフォローはさせてもらっていますが、やはり仕事を続けるには一人ひとりの力が大きいと思います。
とは言うものの、多くの場合、就職して半年から1年を過ぎた頃に何らかの状態変化が生じます。これには、精神障害の特性としての、“ひとつのことがすべてになる”ということがあると思います。
これはどういうことかと言いますと、家庭や友人関係でのトラブルや、仕事上での些細な問題を引きずり、それによって不安が大きくなり、仕事が手につかなくなったり、極端な場合には出勤できなくなる、といった状態のことを指します。
この頃になると、就職先からは、「もっとできるようになってほしい」「これもやってほしい」といった期待や要求が大きくなってきます。当初本人は、“あてにされている”と感じ、仕事にもやりがいを感じるようになります。しかし、そのような要求がたびたび重なってくると、本人にはそれが負担に感じられるようになってきます。そのような精神状態の時に、仕事上で初歩的なミスをしたり、家庭で両親とトラブルになったりすると、そのことばかりが気にかかり、いわゆる“ひとつのことがすべて”になることで、出勤できなくなってしまうのです。
「ワークネットきょうと」でも、時としてこのような状況になることがあります。家族や就職先から、本人が休んでいる情報が入ると、両親と連絡を取り、本人の状況を確認します。その上で就職先に伺い、本人の状況を伝えていきます。必要に応じて主治医とも連絡を取り、受診を促すこともあります。
しかし、なるべくならこのような状況は避けたいですね。
この頃には、本人が仕事を覚え、少しずつ就職先での役割も担うようになるため、支援者とすると本人が「安定している」と思いがちです。そのため、安心感からフォローの回数を減らしがちになります。しかし、そのような時こそ要注意です。なるべく本人・就職先と密接に関わり、本人を取り巻く状況を把握し、早めに危機介入することも必要です。そのようにすることで、このような状況を回避することができると思われます。
「ワークネットきょうと」も2年が経過し、多くの人たちが就職したからこそ、様々なことが見えてきています。そのような状況だからこそ、もう一度自分たちの支援のあり方を考え直す必要があると思います。なるべく多くの人たちが就労を継続できるよう、引き続きフォローを続けていきたいと思います。