おうばく通信
ワークネット通信
2012年4月 5日 (木)
アフターフォローあれこれ
今月から、新たに2名の方が就職されました。
1名の方は居酒屋の開店前の清掃や仕込み、もう1名の方は郵便局内での区分け作業を行っています。どちらも午後からの出勤となっており、業務の時間帯がかぶる形となっています。「ワークネットきょうと」には、現在1名のジョブコーチが配置されており、就職後のフォローはそのジョブコーチが行っています。今回の2名は、どちらも雇用を前提とした実習から就職に到りました。その時から訓練担当スタッフとともにジョブコーチが支援に関わっていたので、比較的スムーズにジョブコーチのフォローへと移行することができました。現在では、午後を前半と後半に分けて、2名の方のフォローに入っています。
ジョブコーチによる具体的な支援は、本人に対しての作業内容に関する支援がメインのように思われますが、それ以上に企業側のスタッフに対する支援がウェイトを占めています。ジョブコーチがずっと支援できるわけでもなく、どこかで支援を離れないといけなくなります。そのためにも企業の中に本人のフォローをしてもらえるキーパーソンを作っていくことが重要になります。特に、本人の特性や長所・短所をジョブコーチから伝え、本人と上手に関わってもらえるような関係を築いてもらうことが求められます。また、時には本人の不調のサインに早めに気付いてもらい、ジョブコーチに情報を提供していただける関係も大切になります。そのためにもジョブコーチとしては、日頃から企業スタッフと仲良くしておき、何かの時に連絡をいただける関係を築いておく必要があります。
とは言うものの、実際の場面になるとそんなに簡単ではありません。特にジョブコーチの支援を減らすタイミングが難しい。頭では分かっていても、なかなか支援から離れることができなくなります。特に直接に「支援をする」のが染み付いてしまっている支援者にとって、「支援をあずける」のは難しいですし、とても勇気がいります。特に、ジョブコーチが離れたあたりから本人の状態が変化し、仕事が手に付かなくなったりする場合には、正直なところ悩みますし、へこみもします。まあ、そのような波を繰り返し、徐々に支援時間や回数が減っていくことになるのですが…。
それと同時に、精神障害をお持ちの方の特性として、家庭環境や職場での対人関係などで状態が変化する場合があります。その時には、再びジョブコーチがフォローの回数を増やすことになります。また、主治医や家族とも連絡をとり、治療環境を調整することもあります。いずれにしろ、息の長い支援が必要になると思われます。
「ワークネットきょうと」を見学に来られた方から、よく「アフターフォローはどれくらいの期間?」と聞かれることがあります。そのような質問には、大抵の場合は「できるだけ長く」と答えていますが、いつも戸惑ってしまいます。やはり必要な方にはできるだけ支援をしていきたいとは思いますが、次々に就職が決まっていく状況を見ると、1人のジョブコーチには限界がありますので、二つ返事で「フォローします」とも言えなくなってしまいます。ここが就労移行支援の難しさ、しんどさでもあると思います。しかし、必要な方がいる限り、我々としてはなるべく長く支援をしていきたいとも思います。そのためにも、企業側に「支援をあずける」勇気が必要なのでしょう。支援を企業側にあずけ、細く長くつながっていく関係、そんな形で就職された方たちを見守っていきたいと思います。