おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2012年2月 1日 (水)
月刊きょうと/「女性専用車両に初めて乗車した」(2012年2月)
今回は利用者のとりさん(女性)に、女性専用車両にまつわるエピソードを書いていただきました。
先日初めて電車の女性専用車両に乗車したことを書こうと思う。
女性専用車両、第一印象は、「わあ〜ええ匂いやなあ★」だった。本当にいい匂いがしたのだ。 しかも車両は空いている。なんて快適な空間なんだ。まわりの女性をさりげなく観察すると、髪型や服装、メイクの勉強になることがわかった。華やかだ。非常に女子力の高い方もいて、なんか比較されるようで、一緒に座るのがいたたまれなく感じる位である(上段の図参照)。
こんなことを書くと、「乗りたい」とそそられてしまう男性がいるかもしれない。実は、乗ってはいけないという決まりはない。「ワシは構わず乗る!」という主張をしたり、男性差別だと批判する人もいる。そもそも障がいのある方や、子供はOKなのだが、あまり認知されていない気がする。
今日も視覚障害者の男性が乗車してこられた。一瞬「おや?」と思ったが、「ここ違うんですよ、隣の車両に案内しましょうか?」なんていうのは、かなりのお節介である。
だが、知らずか知ってか乗車している男性はいる。女性専用車両に男性がいることについて、私が抱く印象は、大変申し訳ないのだが「女子トイレに清掃員のおっちゃんが入ってきた」ときのような違和感を感じる。でもその程度である。うっかり乗車した男性は、居心地の悪い思いをしているかもしれない。あるいは「面倒くさいしこのまま乗ってよう」とか、さらには「女性専用なんて知るか!乗って何が悪い?」などさまざまだろう。いずれにせよ、少なくとも私からは観察の対象になっている。
私見だが、男性が乗車していても、さほど冷たい目で見られることはない気がする。もしうっかり乗車してしまっても、凹むことはない。「おお、今日は珍しい体験をしたなあ。ラッキー」くらいに思っておけばよいのではないかと思う。ただ、毎日となると別だろう。ま、私が痴漢被害に遭ったことがないからこんな呑気なことが言えるのかもしれない。
ただ、女性がこんなに優遇されてよいのかと感じる瞬間はある。男性専用車両はない。男性だって痴漢冤罪から身を守る「男性専用車両」が欲しいのではないだろうか。
以下はウィキペディアからのうんちくである。( )内は私のつぶやきである。
現在の女性専用車両導入の底流のひとつとなっているのが、やはり痴漢対策で、1980年の大阪からスタートしたらしい。行政側は推進に積極的で、2005年には警視庁が女性専用車両導入の要請を行ったそうだ。しかし、明治45年の「婦人専用電車」が最初らしい。男女が一緒の車両に乗るのは好ましくないという当時の国民性を反映して導入されたものだそうだ(そんな時代かー)。その後も神戸市電が買い物客を誘致するために「御婦人専用電車」を運行したり、昭和22年には、殺人的通勤ラッシュから子供と労働女性(OL)を守る目的、ラブレターの受け渡し禁止の目的も合わせて導入されたとか(不純異性交遊ですかね)。
―引用はここで了。
『それでもボクはやってない』という映画がある。加瀬亮演じる主人公が、痴漢冤罪で逮捕、勾留されてしまうストーリーだ。この結末はとても悲しい。あれを観たら、男性専用車両が欲しくなるのではないだろうか。
そんな複雑な背景を感じながらも、私は女性専用車両の快適さを享受する毎日である。