おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2011年12月16日 (金)
月刊きょうと/「ジャムセッションのススメ」(2011年12月)
今回は利用者の自宅警備兵さん(男性)に、ジャムセッションの魅力について書いていただきました。
そろそろ復職も近づいてきて「あとはメンバープログラムこなしたら終わりかぁ」なんて思ってたら、「来月の巻頭エッセイお願いします」と寝耳に水のオファーを頂き、たいへん光栄に思いながらも、とってもあたふたしております。
そんな中、私が選んだテーマは「ジャムセッションのススメ」です。ジャムセッションってなんじゃらほい?って方も多いと思いますが、かのウィキペディアによりますと「本格的な準備や、予め用意しておいたアレンジを使うことなしに、ミュージシャン達が集まって即興的に演奏すること」となっています。別に即興演奏じゃなくても「じゃぁ今度は、あのバンドのあの曲やりましょう」みたいな話をしておいて、次回会った時に「せ~の」で音を出すってのも当然アリです。もっと簡単に言えば、楽器を持ち寄ってみんなで合奏するということです。
そういう楽器演奏愛好家たちが集まるライブハウスやセッションバーみたいなお店は、結構そこらじゅうにあって、だいたいどこのお店もドリンク付きで参加費2000円程度というリーズナブルな料金システムになっています。
楽器演奏というのは、ひとり自室にこもって黙々と練習することも当然必要なのですが、それ以上に他のメンバーと一緒に人前で演奏して、そこで赤っ恥をかきながら鍛えられることが、上達への近道だったりします。
演奏中は他のメンバーの音を聴いて「おっ!、やるねぇ。そんなかっちょいいフレーズで攻めてくるんだったら、こっちはこんなフレーズで返してやるぜい、どやっ!」なんてお互いの出す音で楽しくコミュニケーションできることもあれば、自分の演奏に自信のない時なんて、他のメンバーから「オラぁ~!、もっとちゃんと弾かんかいっ! もうワンコーラス弾け!」と厳しい眼で訴えられて、ワキ汗ダラダラな状態になることもしばしばです。そういう意味では社会生活の中で人が成長していくのと同じで、自分以外の誰かと一緒に演奏することで自分の演奏技術を成長させていくのです。
言い換えると、ジャムセッションには、演奏に対して適切な事前準備ができているか?、演奏中は自分の出す音をちゃんと把握できるか?、自分の思い描くことを演奏として表現できるか?、人の奏でるフレーズを聴いてるか?、それに対してふさわしいフレーズを返せるか?、それら一連のやり取りをスムーズかつ臨機応変にこなし、適当なところがきたら、それなりのまとめをして演奏を終わらせることが出来るか?、などという相当なソーシャルスキルが必要となるのです。それに加えて、演奏の各局面においてアサーティブな態度も必要となります。
そして、いったん演奏が始まったら、やってしまった自分の演奏上のミスに心をとらわれず、目前に迫る次のフレーズに不安を抱くことなく、今この瞬間に自分が奏でる音と他のメンバーが鳴らす音だけに集中するというマインドフルネスな態度も必要となります。つまり、BUCで習得する様々なスキルを実践の場として活用することが出来るのです。
いつも、レコードやカセットテープで(いつの時代やねん!)音楽を聴いてるだけという皆さん、ぜひ一度、何か楽器を手にしてジャムセッションに参加されることをおすすめします。ソーシャルスキル、アサーション、マインドフルネスの実践の場に最適ですよ!