おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2011年8月30日 (火)
月刊きょうと/「私を月に連れてって」(2011年9月)
今回は利用者のMKさん(男性)に、月のあれこれについて書いていただきました。
先日亡くなられた小松左京氏の、たくさんのSF作品や文明批評等をはじめとするエネルギッシュな活動によって、我々は楽しみ、かつ、感化を受けました。
さて、氏は大阪万博のプロデュースもされています。
万博の目玉のひとつに、アメリカ館でのアポロ11号が地球に持って返ってきた「月の石」がありました。
某バンドの歌の一節とは違って、私は6歳の時にアポロの月着陸の様子をテレビで見ていた記憶があります。この、人類にとっての大きな一歩は、まさに宇宙時代の幕開けだったと言えるでしょう。月は夜空に浮かんでいて、ただ眺めるだけのものではなくなりました。
けれど、あれから40年経った今も、月は一般の人びとにとって未だに遠い存在で、旅行することはもう少し先のお話しになりそうです。
月の引力が潮の干満を引き起こします。そして、月の満ち欠けが人や生き物の体に影響を与えていると考えられています。
とりわけ満月には狼男(?)だけでなく、私たちもなにやらいつもと違うエネルギーを感じますよね。ちなみに、ルナティックという言葉、昔は月から発する霊気に当たると気が狂うとされたことから、きています。ローマ神話の月の女神ルナからの派生語です。
ここで脱線。私的お薦めで恐縮ですが、ご興味のあるかたは平井和正のアダルトウルフガイを含めた「ウルフガイシリーズ」を、ぜひお読みください。
この他にも、月は人に対して象徴的、具体的に関わってきました。
古代人は月が満ちてやがて欠けてなくなる、この繰り返しのなかに、月は再生と万死をもたらすと思い、また、月の運行をもとにした暦(太陰暦)を作って生活を送りました。
そうそう、月の影の模様はいろいろなものに重ね合わせて見られています。欧米では美人の横顔、中国では蝦蟇、日本ではウサギ、というように。古今東西それぞれの国の国民性、民話や説話を反映して、ずいぶんと違っています。
ところで、今年の中秋の名月は9月12日(月)です。お月見にススキを飾って、団子を備える風流な習わしも今ではあまり行なわれなくなりました。月見団子は盗んでも罪にはならないそうで、盗まれれば良いことだと喜ぶ地方もあったそうです。
みなさん、当日はお月見と洒落てみては!
P.S.月を題材にしたジャズのスタンダード・ナンバーについて2曲ほど。お月見のBGMに推薦です。
ムーンライトセレナーデ。グレン・ミラー楽団のバンドテーマで、上野樹里主演の映画『スィングガールズ』の演奏シーンにも登場します。
フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン。『新世紀エヴァンゲリオン』のエンディングで使われていました。