おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2011年7月30日 (土)
月刊きょうと/「涙の効用」(2011年8月)
今回は利用者の智慧慈雨さん(女性)に、涙の効用について書いていただきました。
とうとうと言うべきか、待ってました! と言うべきか、巻頭エッセイのオファーが舞い込みました。
私は、今回の月刊きょうとが発行される日を待たずしてBUCを卒業します。そんなこともあってこのような晴れがましい機会を最後に与えていただきました。
思えば、この月刊きょうとを読むたびに編集長Nさんの笑顔の奥に隠された苦難の人生(例えばゲロですべって転んだ話など)に触れ、いつもそっと涙(?)したものです。
ということで、今回のエッセイのテーマは、「涙の効用」にしました。
このテーマを選んだのは、先月号の「雨にまつわるエピソード」に関連し、日本には「涙雨」という言葉があること、そして私のペンネーム「智慧慈雨」が、韓国で「涙の女王」と称されている女優さんの名前に由来していることもその理由です。
さて、世間では、「涙」よりも「笑顔」の効用の方が一般的です。何しろ、笑うとナチュラルキラー細胞というものが活性化して癌細胞さえもやっつけてくれるのだというのですから。また、笑顔は重要なコミュニケーションツールでもありますよね。
それに比べると「涙」というのは、ネガティブイメージでとらえられることが多いのですが、実は「涙」にも重要な効用があるそうです。
そのひとつとして、ストレスの浄化作用があります。ストレスは、目に見えませんが、体内でコルチゾールという物質に変化し、このコルチゾールが泣くことによって涙とともに体外に放出されるのだそうです。思い返してみると、悲しくて泣いた後になぜか心が少しすっきりした経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この他にも泣くと脳の前頭前野(思考、意思の決定、コミュニケーションなどの働きを司る「人間の心」そのもの)から海馬に信号が送られてセロトニンが多量に分泌され、それによって心が安定するのだそうです。だから人は泣くんですね。中でも特に感動して泣くと前頭前野の活動がさらに活発になるとのことです。
そこで、感動の涙を流すためには、やっぱり韓国ドラマ・映画を見るのが一番です!(っていうと「やっぱりそこに行くのかよ」というBUCメンバーの声が聞こえてきそうです。そうです。私はメンバーのToshiiさんとともにBUC韓流クラブを結成していました)
人生には、何度かつらい梅雨のような時期が続く日もあります。そんな時は、思いきり泣いてつらい気持ちを洗い流し、明日というドアを開けましょう。そこには、青い空がきっと待っているはずです。そして、いつかまた笑顔でまたお会いしましょう。
最後に、この巻頭エッセイをBUCメンバー、スタッフそして全てのおうばく病院関係者の方に捧げます。ありがとうございました。