おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2011年2月28日 (月)
月刊きょうと/「めくるめく『テツ』の世界その3」(2011年3月)
今回は利用者のらちぞうさん(女性)に、鉄道の魅力について書いていただきました。
先月、先々月に続いて『テツ』の世界です。先月は『テツ』違いでしたが、今月はまた「鉄ちゃん」に戻ります。
私は女性ですが、むかし携帯の乗り換え検索など無かった学生時代「時刻表鉄」で、旅行に行くたび時刻表をめくっては乗り換えをいかにスムーズに行うかや、実際には行かないけど東京まで鈍行でいったらどれ位かかるかなど調べてました。
もちろん、ダイヤが変わったら時刻表は買い替えます。使わなくても買い替えるんです!
ただその頃は、「鉄」とは男性だけの神聖な世界であり、私のような上っ面だけのものでは入っていけない世界でした。そして便利に乗り換えが検索できるようになり時刻表からも遠ざかって行きました。
ところが時代は変わり「鉄ちゃん」はメジャーな趣味となり、女性の「鉄子ちゃん」や、子供がはまったので一緒にという「ママ鉄」などの言葉も聞くようになりました。そして私は最近「擬人化鉄」にはまっています。
まず「擬人化」が分からないかもしれないので説明させてもらいますと、まあ人間でないもの、国、自動車、電車(路線)、新幹線、などを人間にたとえて性格設定や見た目を考え一人の人間としてキャラクターを作るというものです。国を擬人化した漫画では『ヘタリア』などが有名です。
で、今ハマってる漫画が鉄道路線を擬人化したものでコミックスも出版されてます。扱っているのは新幹線、東京中心在来線(私鉄も)、東京メトロ、営団地下鉄などなどです。
いくつかお気に入りキャラを紹介しますと、東海道新幹線はプライドが高いが打たれ(雨、風、雪)弱く、お金にうるさい「1時間59分でも遅延金は払いません」とか、山陽新幹線は苦労性で自慢の500系がこだま落ちしたり、着々と本州制覇を狙う野心家な九州新幹線に乗り入れされたりで東海道と九州に挟まれて苦労の日々をおくっています。
在来線では風が吹いたらお休み(運休、遅延)で雨が降ってもお休みな東のハメハメハ大王やる気なし武蔵野線とか、東京メトロでは優雅で見た目若いけど実は最長老な銀座線とか、営団なので公務員設定でちょっとくたびれ気味なキャラ達とか、合計60人(路線)位が登場します。
擬人化のなにが楽しいかと言われれば、例えば東京に旅行に行ったら乗換検索するたびに出てくる路線の顔が脳裏に浮かんだり、ちょうど強風で武蔵野線が運休していて「ああ、やっぱり休んでる」と思ってニヤニヤしたみたりと、そんな感じです。ただ、そうこうしているうちに各鉄道会社の歴史に詳しくなったり、架線とか第三軌条とか専門用語にも詳しくなり、立派な「鉄ちゃん」「鉄子ちゃん」が出来上がっていくのです。
鉄道に興味がない人でも身近な路線を擬人化してキャラクターとか考えてみると、親しみもより深くなり、電車通勤や通学がちょっと楽しくなるかもしれませんよ。