おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2011年1月28日 (金)
月刊きょうと/「めくるめく『テツ』の世界その2」(2011年2月)
今回は利用者のKJさん(男性)に、『じゃりん子チエ』のテツの魅力について書いていただきました。
先月号の巻頭エッセイは「めくるめく『テツ』の世界」とあったので、今回はそれにヒントを得て書きます。といっても鉄道のことではなく、そう、みなさんの知る『じゃりん子チエ』の「テツ」について。
『じゃりん子チエ』の「テツ」?
なぜこのお題にしたかって? それは、前回の巻頭エッセイが「めくるめく『テツ』の世界」だったからです。なんとまあっ!
昨年の夏、帰りに図書館に行ったとき、児童書コーナーの近くにこの漫画が置いてあったのです。子供の頃アニメで見てたから気になりました。「西川のりお」の声で暴れまくるテツ、メンタルの弱いテツ、強いテツ、あのキャラクターを思い出し、思わず読んでしまいました。そして、全巻揃ってはいなかったものの、あった漫画は、ほとんど借りて読んでしまいました。暑い夏に一人で笑いをかみ殺しながら。
インターネットで検索して調べました。すると公式ホームページに加えて、「じゃりん子チエ研究」と称するサイトまで出てきました。ちょっと驚きです。楽しくなって漫画に登場する人物の相関図を一人紙に書き出しているうちに、ある面白さをみつけてしまったのです。
多様さと身近な人間ドラマ
登場人物が多様で人間ドラマを描いたものって面白いのです、たぶん。大河ドラマでも宝塚歌劇でもチャールズ・シュルツのスヌーピーにしても。共感と浄化、共通項は「カタルシス」なんでしょうか。
でもこの漫画には、かる~い、ゆる~い、なんともいえない魅力があるのです。それは、ネコです、ひらめちゃんです、花井先生です、レイモンド飛田です。大阪です、戦後です、日本なのです、多分。
そして、脇役(といったら、もうその時点でこの方々に失礼ですが)の絶妙な配置、登場の仕方、ホルモンが「じゅぅ~」って焼けるおと。もうホルモン食べに行きたくなるんです。
ほないきましょか、いまから。ばくだん出てきますよ!
セリフもブリリアント! 「うちは日本一不幸な少女や」って、あーカタルシス!! テツの嫁であるヨシ江さんの何と奥ゆかしい弱さと強さ、思わずほれてしまうやんけ。あかん、地がでてきた。日本酒でも飲もうかな。だいたい、ねこのくせに小鉄は強すぎや。
ちがう、ちがうんです、小鉄はもう、ねこじゃないんです。対照というか、一対としての存在と構図なのです。「テツ」と「ちえちゃん」、「小鉄」と「アントニオJr.」。
だって、ねこなのにアントニオは、毎年決まった時期にノイローゼになんるんです。
あかん、とまらんようになってくるわ。そろそろまとめよ。
何しか、みんな憎み合って、愛し合ってるんです。そんなところ。
もし、読んでみたいと思われた方は是非どうぞ。何ともいえない世界があなたを待っていますよ。(終)