おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2010年8月26日 (木)
月刊きょうと/「教育実習の思い出」(2010年9月)
今回は利用者のみいやんさん(女性)に、教育実習のご経験について書いていただきました。
ネタ探しをしていると、家で「教育実習ノート」が出てきました。私は中学と高校の社会科の教員免許をもっていて、10年前に母校の中学で教育実習を受けていました。
もう10年前のことなので、教育実習のことは私の頭からもほぼ消えつつあります。研究授業しんどかったなあとか、毎日遅くまで残って授業の準備してたなあとか、けっこう先生ってお菓子を食べていたんだなあとか断片的な記憶しか残っていません。
実習ノートを見てみると、そういえばこんなことしてたんだと改めて思い出すこともあります。ということで、今回はこのノートを使って教育実習を振り返ってみたいと思います。
教育実習に行っていたのは平成12年の6/5(月)~6/17(土)の2週間(当時の公立の学校では第二、第四土曜に授業があったんですね!)。
私の指導担当をしてくださったのは、中1の社会科の先生で、1年3組の担任。
というわけで、私も一時的に1年3組の担任に。1年生の6月なので、生徒は皆3ヶ月前までランドセルを背負っていた子達。中学生というよりも、小学生の面影を残しまくっているかわいい子供たちでした。折りしも、「発言競争」実施期間だったので、授業中特大の「ハーイ!!」という声とともに、手が挙がるわ、挙がるわ……。
第一週は参観が主でしたが、第二週からは生徒の前に立って授業をしました。毎時間、授業前に授業案を作成し指導担当の先生に見てもらってから授業するのも大変でしたが、授業中、生徒の元気に圧倒されないようにするのも大変でした。
教育実習のメインイベントは、研究授業です。
私の場合は、「東アジアの農業」、中国の農業分布の話でした。ざっくり言うと、華北では小麦・綿を作り、華中・華南で米を作り、内陸部で遊牧をしているという分布の説明です。
いつもどおりの授業とはいかず、模造紙に地図を書き、マグネットを作成し、授業に臨みました。前述のように元気な子達だったので、当日はいつもの数倍の声で手を上げてくれ、楽しんでマグネットを置いてくれました。
教育実習は授業を担当するだけでなく、HR、クラブ活動やそうじなどの課外活動などにも参加します。また、生徒が教室からいなくなった後に、担任の先生は黒板のそうじをし、机といすの位置を直されていたので、そのお手伝いもしていました。生徒だった頃には知らなかった先生の仕事を知ったような気がしました。
生徒だった頃は知らなかったことでもう一つ、「放課後の先生」。
放課後といっても授業終わりの放課後ではなく、生徒が帰った後のことです。
放課後に次の日の授業に向けての準備をしていると、「これ、差し入れ」とよくお菓子をもらいました。また一度は、「たこ焼きあるから、職員室まで来て」と言われ、職員室にたこ焼きを食べにいったこともあります。
生徒には「お菓子禁止!」と言いながら、けっこうお菓子を持ってるんだなあ、と思いました(ただし、これは私が実習に行っていた学校の話。他の学校ではそうじゃないのかもしれません)。
あの頃の私は、先生ってやっぱりハードな仕事だと思い、教職にはつきませんでしたが、今思い返すと結構楽しかったし、やりがいのある仕事だなあと思います。
実際に教職につくともっと大変なこともあるのでしょうけど、もう一回先生をやってみるのも良いなと、このノートを見て思いました。