おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2010年6月30日 (水)
月刊きょうと/「禅の魅力」(2010年7月)
今回は利用者の八百屋さん(男性)に、禅の魅力について書いていただきました。
BUCのプログラムにマインドフルネスがある。瞑想をして心をリラックス、落ち着かせるトレーニングである。
このプログラムを何回か受けているうちに自分に適していると感じた。このマインドフルネスは仏教の坐禅を参考に考案されたものだと聞いた。それで、もう少し調べてみようと思い、仏教とりわけ禅宗に関連する本を読んでみようと思いついた。数ヶ月前から始めて7~8冊を読んだ。
読んでみて思ったのが、当たり前のことだが、あまりにも奥が深い。
仏教について知っていたことは浄土教なら「南無阿弥陀仏」の念仏、日蓮宗なら「南無妙法蓮華経」の題目を唱える、禅宗は坐禅、真言宗は密教など学校で教わった知識くらいしかなかった。
いざ読んでみると仏教は宗教ではあるが哲学的でもあり、心理学的でもある。人生や世の中の事について考えさせられることが多々あった。
その中で最も印象に残ったことが「色即是空」という言葉。どの宗派でも読まれているという、有名な「般若心経」というお経に記されている。
色(実相→宇宙をも含むこの世の全てのもの)は即ち空(空相)であるとの意味である。全ての現象(実相)にはそれ自身に「自性」はなく「縁起」のなかで流動的に現れると説いている。
また、このことを科学の方で考察すると、超極小の分野を研究分野である量子学の世界では、物質は消えたり現れたりすることが観察されているという。このことは仏教で言うところの「空」の考えととても重なる事が多いと思った。超極小の物質が消えたり現れたりして何かの縁で電子になったり中性子になったり、それがまた原子や分子になっていく。そしてだんだんと大きな物質になっていくと、我々人間を含むのは当然として、地球は勿論、宇宙全体も因果で成り立っていると考えていいと思ったのである。
このように考えると人間なんてちっぽけな存在だし、私が今生きているのも何かの縁によるものだし、「うつ病」になったのも何かの縁である。そう考えると気が楽になる。「うつ病」もそのうち治るだろう、物事をあまり深く(ネガティブに)考えないでおこうと思うのである。
仏教は奥が深い。禅宗のみと言わず、浄土教、日蓮宗、真言宗、天台宗など様々な宗派の教えを知りたいと思っている今日この頃である。