おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2010年5月27日 (木)
月刊きょうと/「クルマの魅力」(2010年6月)
今回は利用者のMTさんに、クルマの魅力について書いていただきました。
突然でありますが、昨今、若者の車離れに拍車がかかっているそうで、自動車メーカーが躍起になって、若者を取り戻そうとしているのと並行して、中年層(30代~40代)をターゲットに、自動車メーカーが直接スポーティにカスタマイズした車を売り出す予定ということを新聞で知った。
そういえば、現在国産メーカーが市販している車で、スポーツカーと呼べるまたは昔スポーツカーによく採用されていたマニュアルトランスミッション(以下MT)を搭載したモデルは、ほんの一部あるだけである。現在主流のオートマチックトランスミッション(以下AT)でも、最近ではMT風に運転できるモデルもあるが、やはり、自分で車を操っている感覚を味わうには、MTがいいと私は思っている。
確かにATは便利である。なんといってもアクセルとブレーキ操作だけで運転できてしまう。坂道でもクリープ現象というあらかじめ前に進もうとする力が働いているため、余計な気を使わなくてもよい。
逆にMTはアクセルとブレーキの他にクラッチといって、車の速度に合ったギヤを自分で選択するための操作がある。MTが社会から減っていったのは、このことが一番の原因だろう、こんなめんどくさい操作やってられるかみたいな感じでしょうか!?おまけに、坂道では後に下がるから気をつけなければあかんし。
しかし、こんな世の中に逆行するように、私は14年落ちのMTの車を3年程前に購入した。当然車を所有するということは、維持費も掛かってくる。そのため維持費の安い軽自動車しか選択肢がなかった。車種は、SUZUKIのアルトワークスという、一昔、いや二昔も前の若者に人気のあったクルマである。
他にもいろいろある車種の中で、このクルマを選んだのは、後付で追加していくパーツの種類が豊富であったためである。
特に峠の走り屋というわけではないが、『頭文字D』というマンガに影響を受けていたため、ノーマルの状態のクルマとは少し違ったクルマに乗りたい、しかもMTで自分専用にしたいがために選んだ車種であった。
購入後、少ない小遣いの中から、少しずつマフラーなどのパーツを交換し、今では、エンジン音だけは、ノーマルのクルマのエンジン音ではなく、チューニングされたクルマのエンジン音に仕上がっているつもりでいる。今後さらに改良を加え、運転していて気持ちの良いクルマにしていくつもりだ。
ただ、最近ふと気付いた事がある。当初、自分専用のつもりでいたこのクルマであるが、乗り心地があまり良くないにもかかわらず、ファミリーカー化していることだ。
理由は不明だが、もしかしたら、子供たちは少々不便で狭くても、エンジン音や風をより身近に感じられるから、このクルマに乗るのかなと自分勝手に解釈している。
こんなことを考えながら、週末には洗車にいそしんでいる。
次の週末には、子供たちをつれてドライブに行こうと思っている、古い愛車で。