おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2009年8月 1日 (土)
月刊きょうと/旅による心の変化(2009年8月)
今回は利用者の温泉大好きさん(男性)に、旅の魅力について書いていただきました。
旅は自分の日常的な出来事から解放されて、非日常的な出来事を体験する事が出来るので、私は大好きです。
国内、国外と、いろいろな場所に行きましたが、そこで体験する出来事や、その土地の歴史や文化を感じ取ることによって、心のリラクゼーションや感動を与えてくれるし、また旅が出来るように日常の生活に戻っても、頑張ろうという勇気にもなるし、心のエネルギーとなってくれる。
私は現在うつ病でBUCに通所していますが、意欲がなかなか沸いてこなく、心のエネルギーとなる源が何であるか、現在のところ暗闇の中を、自分探しの旅に出かけている。
その旅に出口があるのか、今の所は見えてはこないですが、必ず出口は在ると思っています。心の旅だけではなく、現実の旅も体調が良ければ、やってみたいと思う。
私には昔、夢があった。その夢は、建物を設計して後世にも残る建物を造りたいという夢があった。そして、学生の頃勉強の為にヨーロッパ一周の旅に出たことがあります。
そして、ヨーロッパ中の建物や芸術、歴史や文化を見てきました。そこでは、日本であたり前のように感じていた事が、他の国では違っていて、最初はすごく戸惑いましたが、やがて異文化に触れることによって新鮮な気持ちになり、心は満ち足りていた事を思い出します。
10カ国を1カ月かけて周遊しましたが、その中で一番印象に残っているのは、スペインのバルセロナにあるサグラダ・ファミリア教会です。
設計者はアントニオ・ガウディという方で、バルセロナにたくさんの有名な建物を残している建築家です。1882年3月19日に着工し、現在も建築中です。最近の予測では、完成は2256年前後と言われている(ただし、完成目標はガウディ没後100周年目の2026年としている)。
100年以上も前の建物なのですが、デザインは古さを感じさせない造りとなっている。建物はすべて彫刻家によって彫られて造っていくので、中々完成するには時間のかかる建物です。
その建築家の最後は1926年6月7日、ガウディはミサに向かう途中、路面電車に轢かれた。晩年身なりに気をつかわなかったため、浮浪者と間違われて手当てが遅れ、事故の3日後に73歳で息を引き取った。遺体はサグラダ・ファミリアに埋葬されている。
しかしその建築家の心、魂は、後世に受け継がれていく。その建物を見たときに感じたものは、建物は立派なのですが、100年以上も建築が続く人と人との心のエネルギー、情熱や意欲をすごく強く感じたことを覚えています。
またその心のエネルギーを頂いてすごい感動も与えていただきました。私もいつか病気が寛解した時には、もう一度その建物におとずれて、職人さんや建築家の心がまた感じとれるようになりたいと思います。そしてもう一度その感動に浸りたいと思います。
私は、「旅による心の変化」を楽しめるように、早く元気になれるように、頑張って病気を治していこうと思っています。