おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2008年8月 1日 (金)
月刊きょうと/「豊かに暮らす」ということ(2008年8月)
今回は利用者のKNさん(男性)に、豊かな暮らしとは何か?について書いていただきました。
最近、『豊かに暮らす』ということを深く考えるようになりました。
若い頃は、「いい大学に行って、いい仕事をして、結婚して、子どもを育てて、よい家庭を築いて、いい家を建てて、よい暮らしをする」ということが人生の目標でした。
それらのことが一段落して、もうすぐ定年。第二の人生が見えてくると、残りの人生を連れ合いとどう過ごしていこうかなと考えるようになりました。
日本には、古来から『室礼(しつらい)』という、その季節や行事に合わせた部屋の装飾やお供え物などをしてお客さんをおもてなしするというよき伝統があります。
例えば、皆さんのご家庭でもお正月には、年末に大掃除をして、玄関に松飾りをして、鏡餅などのお供えをし、新しい年を家族みんなでお祝いしますね。
昔はお正月を無事に迎えられたことを喜んで歳を一つとる『数え歳の風習』がありました。そして、家族一緒に初詣に出かけて、その土地の氏神様や仏様などにお礼と感謝をするのですね。
二月になると、節分で豆をまき、家の鬼を追い払い、福を呼び込みます。節分は立春の前の日に当たり、旧暦の一年のおしまいの日です。その日にこの一年の厄を払い清め、立春(一年の初め)を迎える訳です。
その他、ひな祭り、花祭り、水口まつり、端午の節供、嘉祥菓子、七夕、盂蘭盆、重陽の節供、月見、七五三、冬至・年末供の行事があります。
我が家では、この夏の暑い時期には、涼しい柄の手拭いを額に入れて玄関に飾り、訪問される方に少しでも爽やかな気持ちになってもらえたら嬉しいと思ってしつらえています。
また、神棚には夏野菜、なす、かぼちゃ、きゅうり、おくら、とうもろこしなどのお供えをして、豊作を感謝していますし、家族みんながその力を頂いて、この暑い夏を無事乗り切れるようにお願いしています。
このように『室礼』とは、季節季節を感じ表すということと健康であることに感謝するということと災いから守って頂くという気持ちを持つことなのですね。
これら季節毎の行事を連れ合いと一緒に準備しながら、また一つ齢を共に重ねられたことに感謝しながら、ゆったりとした時間を過ごしていけたら、何にも代えがたい幸せなことだと思う今日この頃です。