おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2008年6月 1日 (日)
月刊きょうと/私の釣魚大全(2008年6月)
利用者のかわせみさん(男性)に、釣りの楽しみについて書いていただきました。
私の趣味の一つは魚釣りでした。過去形で書いているということは、現在はしていないのですが、子供の頃からの釣りの歴史を紹介したいと思います。
最初は家の近くの川でハイジャコ釣りです。ハイジャコは、正式名をオイカワという体長十三センチ程の小さな魚ですが、浮きがピクピクと動いて、あわせるとブルブル引いて、小学生の私には充分の大物でした。特に繁殖期のオスは虹色に輝いて、まるで生きた宝石のようでした。
次に凝ったのがボテ釣りです。これも、正式名はタナゴという体長四センチ程の極小の魚ですが、数多く釣れます。細い道糸に小さな浮きを付けて、本当にものすごく小さな釣り針を付けて釣ります。初めの頃は午後の半日で三十匹ぐらいだったのが、段々上手になって七十匹ぐらい釣れるようになり、ついには百四十匹程釣った覚えがあります。
大学生になってからは、コイ釣りにはまりました。今度は数ではなく大きさです。三十センチ超が釣れるとデカイと思っていたのが、四十センチでも物足りなくなり、六十五センチを釣った時には、次は一メートルを釣るぞ! と、鼻息はますます荒くなります。
道糸はどんどん太くなり、釣り針もどんどんデカクなり、マグロでも釣るんじゃないかと思われる程です。
それでも相手はさすがに淡水の王者。糸はプツンと切られる、針はひん曲がる、竿は折れると、悪戦苦闘。ちょっと目を離すと竿ごとピューンと沖のほうへ持っていかれます。何度もパンツ一丁になって、泳いで取りに行きました。
そんな時思うのはただ一つ。いまのコイはきっと一メートルだったに違いない。逃げた魚は本当に大きいのです。
朝まずめ・夕まずめという言葉をご存知でしょうか? 魚は大抵夜明け頃か、夕方に活発に餌を食べるという事なのですが、私も最初は昼から出かけて夕方には帰っていました。しかし、そのうちに欲が出てきて、もう少し釣っていたら大物が掛かるのではないかと思い始め、電気浮きという先端が赤く発光する浮きを買って、夜の八時・九時頃まで釣るようになりました。
周囲はもう真っ暗な中で、水面上五~六センチ程の所に赤い光がポッと灯っているのを見つめて、次の瞬間には大物のコイが引くのではないかと、じっと待つ。のんびりしているように見えて、気持ちは張り詰めているのです。こうなるともう趣味と言うよりも、マニアかフリークの域ですね。
釣果としては一日に一匹釣れれば良い方で、全く釣れない日(これをボウズと言います)がほとんど。半日大量に餌を撒いてただ帰って来るという、時間をものすごく贅沢に使う趣味になりました。もちろんこんな趣味は独身だから出来た事で、結婚を期に終了となりました。
最長記録は七十二センチでしたが、今でも一メートルを虎視眈々と狙っております。