おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2008年2月 1日 (金)
月刊きょうと/グランブルー・海に魅了されて(2008年2月)
利用者のMattさん(男性)に、海の魅力について書いていただきました。
十数年前にアウトドアブームが流行した時、私もオートキャンプや魚釣りに凝り始めた。それが高じて、自然の美しさに魅了され、陸・海・空と制覇したい夢に駆られるようになっていった。
まず陸は山登り。高い山をいくつも制覇するのでなく、トレッキング感覚で歴史のある山を散策した。次に空。これはパラグライダーで大空を悠々と飛び回るものだった。そして海。生来、陸・海・空の中で一番好きだったのが海である。
その海にスキューバダイビングで潜り始めた。陸・空も良いが、一番はまっているスキューバダイビングの楽しさと、海の魅力を今回はご紹介したい。
スキューバダイビングをするにはライセンスが必要となる。数回の講習とペーパーテスト。そして数回の実地講習。これらにパスしなければライセンスは取得できない。
今はかなりライセンス取得が簡単になってきたが、私が取った当時はスキューバダイビングをする人の数も少なく、機材も粗末なものしかなかったので、講習や、実習は体育会系のノリで厳しかった。
今ならダイブコンピューターが進化しており、潜水時間や体内の窒素計測などを自動でやってくれるが、当時は、自分で潜水計画を立てて、手計算で潜水可能時間や深度をはじき出さねばならなかった。
また、海に潜るには軽機材と呼ばれる、シュノーケル、水中眼鏡、フィン、ウエットスーツ等があり、さらに重機材と呼ばれるBC,レギュレーター、オクトパス等がある。
これらを装備すると非常に重たいし、セッティングも少し手間取ることがある。しかし、いったん海へ潜行し始めたらそんな苦労はどこ吹く風で、海のとりこになってしまうのだ。まるで羊水に包まれた胎児のような感覚であると同時に、自然の作り出した奇怪な地形のすばらしさ。そして、様々な海洋生物。
人によって潜り方はいろんなスタイルがあって、地形を楽しむ人、大物のハンマーヘッドやマンタをウォッチングする人、カメラで記録を主にする人、珍しい海洋生物を探すのが好きな人など様々である。
私は、海外の海も潜ったが、意外にも沖縄の海が一番きれいだった。今は乱開発で、人の余り行かないポイントでないと透明度も悪い。しかし、未だに絶好のポイントはたくさんある。夜の海も神秘的である。サイパンの夜光虫は一面蛍のように光り、筆舌しがたい美しさがあった。
今まで遭遇した海洋生物で興味深かったのは、ホオジロザメ(怖っ)、エイ、ウツボ、カクレクマノミ(NIMO)、ガーデンイール(砂地からニョロニョロと顔を出してる)、ナポレオン、マンタ、そしてイルカの大群。もっと他にも挙げたらきりが無い。
そして、人との出会いも楽しみの一つ。ほとんどがボートで沖に出てダイビングするので、ボートに乗り合わせた人と仲良しになる。時に有名なダイバーに出会う時もあり、興奮する。
有名なダイバーといえば、現在素潜りの世界記録はイタリアのペリッツアーリの105m。これは約7分間息を止めていることになる。また、推進器を使っての世界記録はキューバのフェレーラが130mを出した。そして、フリーイマ―ジョンといってフィンを装着せずにガイドロープを使って潜る競技では、日本の篠宮龍三氏が80mの世界記録保持者である。
しかし何と言っても、ジャック・マイヨールの功績は映画グランブルーのモデルにもなったくらいの超人である。私から言わすと、彼はもう魚同然といってよいだろう。皆さんもぜひ見てもらいたい映画の一つである。あの名監督リュック・ベッソンの出世作だ。
今はもうシーズンダイバー(夏だけリゾートで潜る人) に成り下がってしまったが、また、がんがん潜りたいものだ。海は下手をすると危険ではあるが、あれほど脳を活性化できるところはないと思うほど病み付きになること間違いなし。