おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2007年5月 1日 (火)
月刊きょうと/ビオトープの魅力 (2007年5月)
今回は利用者の紋次郎さんに、「ビオトープ」の魅力について書いていただきました。
ビオトープって何や?
という方も是非ご一読くださいませ。
ビオトープってご存知ですか? ドイツで生まれた言葉で、
「有機的に結びついた生物群。すなわち生物社会の生息空間」
…の事だそうです。何のことかさっぱりわかりませんよね。
日本でビオトープと言えば、池や流水を作り、そこに植物を植え、魚などの生物を住まわせるものと認識されているようで、小学校などの校庭の片隅でよく見かけます。私の娘の小学校にもお約束どおりありました。
で、わが家でもやってみました。父親が「庭に池を作りたいからお前も手伝え」と突然言い出したのがきっかけでした。
庭には今は亡き祖父が昔、錦鯉を飼っていたコンクリート製の深い池があり、そこに川砂を入れて浅くし、魚の隠れ家となる岩を配置し、近所の河原から採取してきた植物と水草を植えて、とりあえず器は完成です。
こう書くと簡単ですが、砂は1トンダンプ一台分だったので重労働でした。ここまでは、砂の運搬投入以外はほとんど父親がやりました。はじめ私は興味がなかったもので。なお、池は直径1.5m、深さ40cm程度です。
中に入れる生物は私が調達しました。以前捕獲・飼育してきた黒メダカ約50匹、ホームセンターで購入したタナゴ数匹と石貝数個、釣具屋で購入した釣りえさ用の川エビ多数とどじょう数匹。石貝はタナゴの産卵用です。娘は金魚を入れたがりましたが、自然らしさが失われるので却下しました。
しばらくはこれで満足していましたが、少し大きめの魚が欲しくなり、娘と近所の川で釣ってきた小ブナ数匹、ハヤ数匹、ドンコ1匹、カワニナ(ホタルの幼虫が食べる巻貝)数個が加わりました。ハヤは酸素不足のためか約三分の一が翌日に死にましたが、残りは環境に適応してくれたようです。
その後は暖かい時期の餌やり以外は基本的に放置しています。
完成したビオトープの傍に腰を下ろし、泳ぐ魚たちの姿を観ながら吸うタバコは最高でした。
その後の変化ですが、メダカとエビはどんどん増えます。タナゴは石貝を入れると増えますが、石貝は飼育が難しく、気がついたら死んでます。他の魚は産卵してないようです。
断りなしに池に入り込んでくる生物もいます。
筆頭はカエルで、元々庭に居た土ガエルはわかるとして、なぜか殿様ガエルも住み着き、産卵・増殖してます。おかげで夏の夜のうるさいこと。他はアメンボ、ヤゴ、ゲンゴロウ、タガメ等の昆虫が来ますが、魚を食べるのでアメンボ以外はお引取り願ってます(ところでゲンゴロウ、タガメって買うと高いんですよ)。
厄介なこともあります。
夏場は藻が大量発生して中が見えないので面白くもなんともありません。ポンプとフィルターで水を循環してもすぐ詰まり、いろいろ試行錯誤した末、よしずで影をつくるという原始的な方法で解決しました。
イタチにやられたこともありました。池の周囲に貝殻や魚の頭が散乱していたので、おかしいと思っていましたが、ある日現場を押さえました。イタチって水に潜るんですね。
ネズミ捕りを仕掛けたら餌だけ盗られたので、本格的な罠を購入したところ、早速かかりました。娘の飼ってるウサギが。
ビオトープの魅力は、人があまり手を入れなくても生物が繁殖したり、思ってもみない生物が住み着いたり、水がきれいに保たれるサイクルを目の当たりにできたりと、なんだか小宇宙を間近に見ているような気分にさせてくれるところでしょうか。
癒し効果もバツグンです。よかったら皆さんも、火鉢ひとつからでも試してみては?