おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2006年7月 1日 (土)
月刊きょうと/愛犬との出会いとうつ病 (2006年7月)
通所しておられるFさん(男性)に、愛犬との出会いについてのエッセイを書いていただきました。
それは、2004年9月6日のことでした。
前日、あまりに寂しく惨めな誕生日を過ごした僕は、めちゃくちゃ落ち込んでました。朝起きても会社行く気にもならず、仮病で休暇にして昼前まで寝て…。
「こんな時はパッとドライブでも」と琵琶湖一周ドライブに出かけたんですが全く気分が乗らず、すぐに帰ってきてコンビニで酒のつまみを買って、昼真っから一人で酒を飲んでました。
「あかん、こんなことしてたら、俺、あかん…」
そのとき、閃きました。「ペットを飼おう!」
いつも一人で部屋にこもって酒ばっかり飲んでるのは良くない、何か僕のことを頼ってくれる存在、僕が守りたいと思う存在、そういうのがあれば何か変わるかもしれない。
そう思いついた僕は、タウンページの「ペットショップ」の所を2~3ページ切り取り、ペットショップ巡りを開始しました。
その時は自分がワンコ飼うとか想像出来なくて、「何か手軽なの…ハムスターとか、インコとか…」と考えてたんですが、二軒目に訪れたペットショップで運命の出会いが待ってました。
そのペットショップでは、子犬はガラス張りのケースではなく、「これ以上立ち入り禁止」とロープが張られたゲージに入れられてました。僕がその前に立つと「なんか怪しい人がいてる!」「あたしを連れて帰って!」。いろんな自己主張があってみんなワンワン吠えます。
その中に、吠えるでもなく、ゲージの中でお座りしてじっと僕の目を見つめてくるチワワがいました。お約束通り、頭の中でBGMが流れます…。
「どうする? ア○フル~」
10分くらいそのまま見つめ合ったでしょうか。店のおっさんが話しかけてきました。「兄ちゃんワンコ欲しいの?」
僕:「はあ、でも飼ったことないんで…」
おっさん:「まあ誰も最初は初めてやからね」
僕:「あのチワワの子、おとなしいですよね」
おっさん:「ああ、あの子なら安くしとくよ」
さすがにワンコの衝動買いはいかんと思ったので、その場は愛想笑いで切り抜け、一旦家に帰ってネットでワンコの飼い方を検索。なるほど、一人暮らしの僕でもなんとかなるかも!
その後、近所のホームセンターでワンコを飼うにはこういう用品が必要、というのをチェック。部屋に置くスペースは十分ある! それに何より…「ア○フルなんか頼らんでも金はある!!」
そのまま先ほどのペットショップに戻りました。「こ、こ、こ、この子もらいます!」 あ~あ、言っちゃったよ…。
うちにやってきたチワワの子犬は「チョビ」と名付けました。
その後、チョビのおかげでたくさんの新しい友達が出来ました。何より、些細なことで落ち込みがちな僕でも、チョビと遊んでいるときは嫌なこと全て忘れることが出来ます。
すっかりワンコにはまった僕はその後さらにもう一匹ワンコを迎え、「かのこ」と名付けました。
今は精神的に体調を崩して会社を休職し、復職トレーニングに通う身分ですが、「チョビ」と「かのこ」がいなかったら、ここに通って病気を治そうという気も起こらなかったかも知れません。今では「チョビ」と「かのこ」の存在が、病気に立ち向かおうという僕のモチベーションの源になってます。