おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2006年5月 1日 (月)
月刊きょうと/復職トレーニングを受けて・その2 (2006年5月)
3月下旬にバックアップセンターを卒業し、
社会復帰をとげられたKさん(男性)に、体験記を書いていただきました。
1.通所までの経緯
昨年の4月に職場が変わって仕事量がかなり増加し、上司のプレッシャーも厳しい状況が続いていました。7月頃からはさらに仕事が増え、深夜までの残業が毎晩続いた結果、疲労が大きくなって精神科を受診しました。
10月中旬になると朝起きられず出勤できなくなり、結局、昨年の12月から今年の3月まで休職することになりました。
はじめは自宅で休養をしていましたが、当初は家では寝てばかりで、新聞・テレビを見る気力もなく、近所を散歩することさえ苦痛でした。そんな折、バックアップセンター「きょうと」が2月から開所されるという情報を友人から聞いたことがきっかけで、こちらにお世話になる運びとなりました。
2.デイケアに参加して
最初の頃は、朝起きて通所するのがしんどいと感じることが多くありました。「朝起きたくない」「家でゆっくりしたい」といった気持ちが強く、「とにかくデイケアに行って座っているだけでもいいから」と自分に言い聞かせて通っていました。
ただ、家にいるときは「職場に復帰できるのか? このまま自分はダメになってしまうのではないか?」と不安ばかり強くなっていたのが、朝起きてデイケアに通うことによって、生活リズムが仕事をしていた頃に近い状態まで戻りました。その結果として、職場に行く自信が出てきたことが、自分にとって一番大きかったと感じています。
家から出ない生活のためかなり落ちていた体力も、スポーツやヨガなどのプログラムを受けることで回復しました。体調がよくなると、気分的にもリラックスできるようになってくるものです。
デイケアでは、ストレスがどのようにして起こるのか、どのように対応すればよいのかを分かりやすく学べる機会があり、自分が病気になるまでの経過を振り返って、生活していく上での反省点や注意点を見直すことができました。グループディスカッションでは、他の方の体験や意見を聞いたり、関連図書を読んだりすることで、同じような経験をしている方がいることへの安心感や参考となる考え方、正しい知識などを得られました。
3.現在の心境など
デイケア通所をつうじて、自分の性格や傾向、そしてうつ病について、今までよりも客観的な目で見ることができるようになったと思います。
以前は、「どうしてこんな病気になってしまったのだろう?」という後悔の気持ちが強く、なかなか前向きに考えることができませんでした。それが現在は、病気になって休職したことによって妻や両親との理解が深まったことなど、良い面もあったと考えられるようになりました。「病気になったのは仕方がない。休んで考える機会を神様がくれたと思って、これからどうしていくかだけを考えよう」という気持ちになっています。
仕事に復帰することに対しては正直、まだまだ不安も大きいですが、はじめのうちは「デイケアの実践編」だと割り切って、少しずつ慣れていきたいと思います。
おわりに
参加者の皆さんは、まじめで穏やかな方ばかりで、とてもリラックスして過ごすことができました。スポーツのときには、いろいろな種目で楽しい時間が過ごせました。
私自身、自分から話す方ではないので黙っていることも多かったのですが、グループディスカッションなどでは、いろいろ参考になるご意見をありがとうございました。